2013 Fiscal Year Annual Research Report
コンクリート構造物の高精度な長期供用性予測に資する環境作用評価システムの開発
Project/Area Number |
25289131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
下村 匠 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (40242002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 泰司 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (40377221)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水分移動 / 表面温度 / 塩害 / 結露 / 潮解 |
Research Abstract |
屋外一般環境下におかれたコンクリート構造物中の含水状態の経時変化を数値解析で再現することを目的とし,水分移動モデルの高精度化と,構造物への環境作用の考慮の方法について検討を行った。熱と水分の出入りを制御したコンクリート供試体の暴露試験を行い,屋外ではコンクリートの表面温度と外気温度は異なり,表面温度に対応したコンクリート表面近傍の相対湿度がコンクリートの乾湿挙動に影響を及ぼしていることを明らかにした。表面近傍の相対湿度を境界条件として用いることで,水分移動解析の精度を向上できることを確認した。コンクリートの表面温度は外気との熱伝達,コンクリート内部の熱伝導,日射による熱放射を考慮することで精度よく推定できることを確認した。 AMeDASのデータを利用し,日本国内の任意地点に建設されたコンクリート構造物の温度と乾湿に関する環境作用モデルを自動生成し,長期乾湿挙動をシミュレーションするプログラムを開発した。 凍結防止剤による塩害の特徴である被害箇所が局所的である様相を再現するために,構造物表面の水の流れとこれに伴う塩分浸透の数値解析方法について検討した。実橋梁の漏水痕と塩分浸透の再現解析より,漏水痕の特徴を再現できた。また,塩分浸透量は構造物の部位によって差があり,その特徴を再現するためには構造物表面に流れる水による塩分の分配,再分配をメカニズムに則り表現する必要があると考えられた。 コンクリート表面に塩分が存在すると,近傍の飽和水蒸気圧の低下,塩の結晶の潮解による吸湿によりコンクリートの含水状態に影響を及ぼすことに着目し,供試体による乾燥・吸湿実験を行った。その結果,コンクリート中の水分の移動に及ぼす塩分の影響がたしかに存在することを確認し,そのモデル化に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に計画していた,実験,解析,プログラム作成を順調に開始し,成果を得ることができた。ただし,供試体作成と計測作業の集中を避けるために,屋外長期暴露試験のうち,RCはりPCはりの持続載荷試験を平成26年度開始にした。
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Strategy for Future Research Activity |
RCはり,PCはりの屋外長期持続載荷試験を行い,長期変形と応力に関する良質なデータを取得するとともに,解析によるシミュレーション手法の開発を行う。コンクリート中の水分移動に及ぼす塩分の影響をモデル化し,塩害予測プログラムに組み込む。飛来塩分の数値シミュレーションと構造物表面での水分・塩分の移動解析,コンクリート中への水分・塩分の浸透解析を連続して行えるようプログラムを統合する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた屋外長期暴露試験のうち,RCはりとPCはりの屋外持続載荷試験は,平成25年度開始から平成26年度開始に変更した。試験期間を長く設定することよりも,試験体作製,載荷システム,計測システムの構築を入念に行うことを優先したためである。 次年度使用に繰り越した分は,RCはりとPCはりの屋外持続載荷試験に用いる試験体の作製,載荷システム,計測システムの構築に使用する。
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Research Products
(4 results)