2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25289156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
二瓶 泰雄 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (60262268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 喜昭 東京理科大学, 理工学部, 教授 (40371760)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 河川堤防 / 防潮堤 / 水害 / 津波 / 越流 / ジオテキスタイル / 決壊 / 減災 |
Research Abstract |
本研究の初年度で行った内容は以下のとおりである. 1)新形式河川堤防・防潮堤の基本構想の提案:河川堤防・防潮堤の耐越流侵食性を強化するために,ジオテキスタイルを用いた新形式河川堤防・防潮堤を提案し,全体補強と部分補強を想定した詳細設計を行った. 2)新形式河川堤防に関する越流侵食実験・解析:新形式河川堤防の耐越流侵食性を把握するために,水平開水路に模型堤防を設置し,越流侵食実験を行った.ここでは,堤防高を25cm(1/20スケール)とし,補強条件や勾配,堤体材料,ジオグリッドの種類をいくつか変化させた.その結果,新形式堤防は,洗掘防止工と組み合わせることにより,所定の越流時間を超えても破壊されず,土堤や従来形式(アーマ・レビー)よりも耐越流侵食性が極めて高いことが示された.このような結果は,堤体の表・裏のり面を急勾配化(5分勾配)しても維持され,全体補強・部分補強ともに確認された.また,新形式堤防強化への細粒分の効果やジオグリッドの目合いの効果が確かめられた. 3)越流侵食実験による新形式防潮堤の性能検証:一次元造波水路(長さ36m,幅1m)を用いて防潮堤の越流侵食実験を行った.高さ10cmの模型防潮堤を作成・設置し,東日本大震災規模を想定対象とした.ここでは新形式防潮堤の耐越流侵食性について検証した.また,多重防潮堤による津波越流量抑制効果を明らかにした. 4)既往の破堤事例調査・解析:既往の決壊した河川堤防・防潮堤の調査事例を収集し,決壊要因や決壊時の越流・堤防侵食流況を整理するとともに,被災事例データの蓄積(H25山口・島根豪雨災害など)を行った.これらの結果を越流侵食実験の条件設定に反映した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の申請通り,1)新形式河川堤防・防潮堤の基本構想の提案,2)新形式河川堤防に関する越流侵食実験・解析,3)越流侵食実験による新形式防潮堤の性能検証,4)既往の破堤事例調査・解析,の4項目に関して着実に検討を進め,新形式河川堤防・防潮堤の耐越流侵食性が高いことは実証されつつある. しかしながら,河川堤防・防潮堤において作用する力や流速・圧力場の計測が十分できておらず,残された課題と言える.そのため,上記の(2)の区分と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度の成果を踏まえて,H26年度以降では,以下の項目に重点を置く. 1)越流侵食実験の継続(河川堤防・防潮堤):前年度に引き続いて,新形式河川堤防・防潮堤の耐越流侵食性を把握するために,河川堤防・防潮堤の越流侵食実験を継続して行う.ここでは,堤体断面形・材料,締固め度などを変化させると共に,流況条件や補強条件も変えて実験を行う.2)浸透実験の実施(河川堤防):浸透決壊が問題となる河川堤防に対して,模型河川堤防の長時間浸透実験を行い,新形式河川堤防の耐浸透性を検討する.3)既往の破堤事例の調査・分析と耐震性情報の整理:既往の破堤状況を調査・分析すると共に,河川堤防・防潮堤の耐震性を整理し,地震時のGRS擁壁・橋梁等の挙動から新形式河川堤防・防潮堤の耐震性評価や問題点を検討する.特に,新形式河川堤防・防潮堤の地震時変形状況やその復旧対策に関する課題を抽出し,解決策を検討する.4)新形式河川堤防・防潮堤設計案の改良・取りまとめ:前年度の越流侵食実験結果を踏まえて,新形式河川堤防・防潮堤の耐越流侵食性強化策を細部にわたり検討する.ここでは,堤体裏のり尻部の洗堀防止用対策や,水平面状補強材,堤体材料の吸出し防止材の導入有無などについて検討を行う.これらの結果より,新形式河川堤防・防潮堤の全体・部分補強と堤防の耐越流侵食性を定量評価し,“粘り強く壊れない”河川堤防・防潮堤とするためにどの程度のGRS補強が必要となるかを,対象水害外力別及び堤体条件別に整理・検討する.
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Research Products
(16 results)