2014 Fiscal Year Annual Research Report
空間の明るさ感評価指標に基づく設計手法の構築と普及促進手法の整備
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25289199
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
吉澤 望 東京理科大学, 理工学部, 准教授 (40349832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 直也 関西大学, 工学部, 准教授 (00330176)
加藤 未佳 金沢工業大学, 環境・建築学部, 講師 (00409054)
山口 秀樹 独立行政法人建築研究所, 環境研究グループ, 研究員 (60411229)
三木 保弘 独立行政法人建築研究所, 環境研究グループ, 主任研究員 (90356014)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光環境 / 照明環境 / 空間のあかるさ感 / 輝度・色度測光 / 国際研究者交流:フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鉛直面への光の配分を重視して照明環境の質的要件の担保を可能とする「明るさ感指標」の確立を目指し、1)明るさ感推定モデルの確定、2)室用途や行為ごとの適切な明るさ感範囲の導出、3)普及促進のための明るさ感計測・予測ツールの開発と提供、4)国際基準化に向けた明るさ感基準の提案を行うことを目的としている。平成26年度は、このうちa.明るさ感推定モデルの確定を目指した実験、b.室用途や行為毎の適切な明るさ感範囲の導出のための被験者実験、c.明るさ感計測・予測ツールの開発と提供を目指した輝度・色度測光ツール開発、d.国際基準化に向けた異なる文化圏における明るさ感知覚および明るさ感要求レベルに関する被験者実験、を実施した。 明るさ感推定モデルの確定を目指した実験においては、輝度ムラを変化させた照明条件それぞれの明るさ感について被験者評価を行い、さらに平滑化係数を用いた明るさ感算出モデルの妥当性検討を行った。平滑化に関する理論的背景の検討はこれからの課題として残っているが、明るさ感算出モデルとあかるさ感評価の間にある一定の関係性を見いだすことができた。 室用途や行為毎の適切なあかるさ感範囲の導出実験および国際基準化に向けた被験者実験については、フランスと日本双方において、ほぼ同じ空間かつ照明条件下において被験者実験を行った。その結果としてあかるさ感知覚についても特に光源の数が多い明るい条件においては両者の間に有意差が確認されたと同時に、フランスと日本では複数の行為において要求レベルが異なることが明らかになった。 輝度・色度測光ツールの開発については、一眼レフカメラと魚眼レンズを用いたシステムの基本的構築が終了した。このシステムは計測対象の視野に対して、露光時間の異なる複数の画像をカメラで取得し、カメラの各画素値から輝度・色度に変換するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
a.明るさ感推定モデルの確定を目指した実験については、暫定的な明るさ感推定モデルは構築できているが、その適用範囲についてはまだ検討すべき点が残っており、平成27年度に追加実験が必要である。b.室用途や行為毎の適切な明るさ感範囲の導出のための被験者実験およびd.国際基準化に向けた異なる文化圏における明るさ感知覚および明るさ感要求レベルに関する被験者実験については、研究代表者の在外研究先であるフランス(ENTPE)および日本側において評価実験を実施し、既に一定の結果が得られている。c.明るさ感計測・予測ツールの開発と提供を目指した輝度・色度測光ツール開発については、当初予定していた一眼レフカメラを使用したシステム用の基本的プログラムの作成は終了しているが、プログラムの公開に向けた最終確認や明るさ感プログラムの整備については積み残しとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
測光量から明るさ感を推定するモデルの導出については、既に平成27年度の追加実験計画の作成に入っており、7月中に第1回の被験者実験を建築研究所にて実施予定である。平成27年度後半に上記の結果を受けて取りまとめる予定である。ただし全ての空間における適用可否の確認は間に合わないため、モデルの適用範囲を明確にした上で明るさ感推定モデルを提供する。デジタル一眼レフカメラ用のプログラムの公開については、既に基本的新たにプログラミングに秀でた研究分担者を加えて、今年度中の完成および公開システムの構築を図る。明るさ感基準を用いた照明設計による省エネ効果試算については、既に研究代表者が開発済みのRadiance用bashプログラムを用いて年間計算を通した検討を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用に廻した予算は、主として明るさ感推定モデル導出のための被験者実験の謝金として予定していた額(東京理科大学・金沢工業大学)、一眼レフカメラ購入費(金沢工業大学)および運搬費・投稿料(金沢工業大学)である。このうち明るさ感推定モデル導出のための被験者実験については、フランス・日本で実施した適切な明るさ感範囲の導出のための被験者実験および平成26年度前期に実施した輝度ムラのある空間における被験者実験のデータを基にした暫定モデルの導出に予定より時間を要したため、平成26年度後期に予定していた被験者実験については計画案を綿密に練り直した上で次年度に廻すこととした。一眼レフカメラ購入費については、一眼レフカメラを使用した輝度・色度測光ツールのプログラムの公開に向けた実機を用いた最終確認の作業が間に合わなかったため、平成27年度に実施することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
測光量から明るさ感を推定するモデルの導出については、既に平成27年度の追加実験計画の作成に入っており、7月中に第1回の被験者実験を建築研究所にて実施予定である。この実験条件の構築のために新しい照明器具の購入が必要になることが見込まれており、明るさ感推定モデル導出のための被験者謝金として予定していた額からの次年度繰越分(東京理科大学)については、新たな被験者交通費に加えて、この実験用資材購入に充当させる予定である。金沢工業大学分の次年度繰越分については、一眼レフカメラを使用した輝度・色度測定ツールの完成と公開を最優先課題として、一眼レフカメラの購入(平成27年度前期)とプログラミング作業の打ち合わせ交通費に集中的に充当させる予定である。
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Research Products
(3 results)