2013 Fiscal Year Annual Research Report
重要文化的景観の選定・運用に関わる公益との調整シナリオの開発研究
Project/Area Number |
25289215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野 芳朗 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (50152541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 理 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (60212081)
清水 重敦 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40321624)
中嶋 節子 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (20295710)
岩本 馨 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 講師 (00432419)
山口 敬太 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80565531)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 都市史 / 建築史 |
Research Abstract |
重要文化的景観の選定にあたって、公共事業との利害衝突とその解決法に関して調査するのが初年度の目的であった。その事例として、平成25年度は四万十川流域と、熊本・天草地域を選び、関係者にヒアリング取材を行った。 その内容は、1.どのような場面で利害対立が生じたのか。たとえば、河川構造物、橋梁、水面(漁業)、堤防、河川敷など。2.その主体はどういう部局か。国土交通省、県の河川担当部局など。3.利害調整の方法はどのようなものであったか。担当部局間、委員会、関係者のラウンドテーブルなど。4.利害調整にあたって主導した主体はどのような人々であったか。委員会、有識者などである。 8月12日四万十町窪川にて、景観設計を実施した西日本科学技術研究所・西山穏氏から四万十は、文化的景観制度ができて間もないころに選定されており、地元の理解する届出と文化庁が想定した届出との間に齟齬があったこと。他の選定地区でも同様の問題があるが、文化的景観選定後の土木工事に際した重要構成要素の改変に関する諸問題の代表的な先行事例といえる。選定前に土木工事による改変の規模や内容について事前協議が必要であったことなどを取材した。8月13日は四万十市中村にて教育委員会川村慎也氏より、公共工事に際し、整備活用計画と文化的景観の規制やコントロールの仕方を同時に考慮し、文化的価値と公共工事とのすり合わせを行うため、委員を招聘した検討会の開催前に、行政の担当者を含めた作業部会を複数回開催を取材した。 9月21日は熊本県山都町教育委員会西慶喜氏から文化的景観のノウハウをもったような関係部署がなく、教育委員会の部署にすべてを一任され、5年になり、文化的景観に対する意識は当初に比べれば根付いてきたこと、9月22日には天草市 平田豊彦氏から天草で先行モデルとして文化的景観の問題点・解決策のマニュアルを作成する旨をヒアリングした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画で初年度は事例を取材するとしていた。その目的を達成するための、四万十川流域と熊本・天草地区への取材がなされ、4名の担当者から、公共工事との利害調整のための解決法を聞いた。場所によってステークホルダーの関係は変わるが、共通していえるのは、関係者全員が集まる場・ラウンドテーブルを何度も持つこと、文化的景観の価値→世界文化遺産というストーリーを関係者で共有することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度も事例研究を、既存選定地に対して取材することに加え、京都市で選定に向けて作業が進んでいる岡崎の文化的景観候補について、どのように利害調整がなされ申請されていくのかを取材する(代表 小野が京都市策定委員)。 これに加え、その他地域(文化的景観に未申請・未計画)について、景観保全と利害調整に関する実例を共同研究者それぞれが担当している地域について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していた文化的景観選定地の調査が25年度は2か所にて終了した。本来、さらに2か所程度を計画していたが、これが先方の事情(未だ守秘事項が多いこと)により調査不可能であったことが次年度使用額が生じた原因である。 計画中にある選定地を調査実施することが本使用額の計画である。現在交渉中であるが、新潟県佐渡、及び長崎県平戸に対し、景観選定と開発行為の利害調整に関する実態を調べる予定である。
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Research Products
(1 results)