2014 Fiscal Year Annual Research Report
相分離貫通型ナノシートとナノディスクを利用する新規なナノフィルム製剤の創製
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25289252
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武岡 真司 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20222094)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機能材料 / 医療材料 / ナノ材料 / ドラッグデリバリー / 高分子薄膜 / ナノシート / ナノディスク / ナノクリスタル |
Outline of Annual Research Achievements |
医用高分子から成る膜厚数十nmの高分子薄膜(ナノシート)は、柔軟かつ生体表面へ貼付可能で癒着や瘢痕が起こり難いことから革新的な医療材料”ナノ絆創膏”として注目されている。これを薬物担体とする応用は有望であるものの、薬物の担持量や放出速度の制御の検討が必要である。本研究では、薬物の微結晶(ナノクリスタル)やナノディスクを高密度に均質に担持させ、相分離貫通型ナノシートを放出層とした新規なナノフィルム製剤の製造法と薬物放出制御法を確立することを目的としている。 平成26年度では、抗菌剤であるスルファジアジン銀のマイクロクリスタルや銀のナノクリスタルを担持させた多層ナノフィルムを調製し、諸物性を検討した。その結果、十分な銀の担持、銀イオンの放出における初期バーストの抑制ならびにナノシート特有の密着性を同時に達成しつつ、十分な抗菌性をin vitro(ディスク核酸法)ならびにin vivo試験(Ⅱ度熱傷感染モデルマウス)にて確認することができた。これらは2報の学術論文として投稿し、受理ならびにマイナー修正の段階である。 更に、相分離貫通型ナノシートとナノディスク(相分離法、マイクロコンタクトプリンティング法)にて大量製造に成功し、特許出願の予定である(5月)。また、対象薬物に対して膜透過性の高い高分子と膜透過性の低い高分子を組み合わせ、組成の調節によって膜透過性を精密に制御したナノシートを透過層とした多層型ナノフィルム(相分離)の構築に成功した。 また、カチオン性タンパク質である成長因子(bFGF)をアニオン性ポリマーであるアルギン酸とポリイオンコンプレックス(ナノ粒子)を形成させ、これをナノシートで挟み込んだナノフィルムを構築し、in vitro試験(bFGFの放出挙動)ならびに in vivo試験(「マウス全層欠損モデル)による評価を終了させた。これらの結果は論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に光還元で析出させた銀ナノ粒子、スルファジアジン銀マイクロ粒子、bFGF/アルギン酸コンプレックスナノ粒子をナノシートで挟み込んで担持させたナノフィルムに関して、放出挙動や薬効をin vitroやin vivo試験で確認する試験を終了させ、論文に発表する作業を順調に進めている。また、相分離貫通型高分子やナノディスクを安定に大量調製する方法も確立でき、特許出願する作業も順調に進んでいる。現在、積層型フィルムにて薬物の拡散、高分子の分解を組合わせた初期バーストを防ぐナノフィルム、ならびに薬物を担持させたナノディスクを挟み込んだナノフィルムに関しては、鋭意検討中である。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるので、薬物を担持させた相分離貫通型ナノシートとナノディスクを利用するナノフィルム製剤を設計するための指針を作る作業を完成させる。具体的には、薬物の溶解度パラメーターや要求される放出速度に対して、どのような多層構造フィルム製剤を設計したらよいのかについて検討項目を系統的に示したい。 また、薬物担持ナノディスクを相分離法で調製する方法は薬物の溶解度パラメーターの考慮も必要となることから制約が多いので、裁断する方法を検討することで解決を図る。
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Causes of Carryover |
装置利用料の請求書(月締め)に他の研究費で使用した分が混在した状態であったために本科研費で支出することを断念した。そのために雑費の予算を有効に使うことができなかった。消耗品に関しても一部他の研究費との重複があったために本科研費で支出しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、他の研究費が終了しているために混在した状態で装置利用分請求書が発行されることはないので、次年度使用額を装置利用に充当する。また、試薬の購入に充当する。
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Remarks |
武岡研究室のHP
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Research Products
(17 results)