2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25289267
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 亮輔 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80179275)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 溶融塩 / カルシウム還元 / 酸化ニオブ / 塩化カルシウム / 粒子形状 / 複合酸化物 / 酸化還元反応 / 高温化学反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
TiやTa, Nbは炭素還元が著しく困難であるため、塩化物などを一旦製造して、還元しやすい化合物に換えた後、それらを還元し製造するので、エネルギー多消費型で連続製造も難しい。Ta, Nbは優れた高耐食性を持つ緻密な酸化皮膜を有するので高性能コンデンサとして製品開発、実用化が検討される。複雑な形状を持つ粒子表面を作成して静電容量を増大した高性能素子が求められている。 本研究では、結晶異方性をもつ複合酸化物CaxMyOzを溶融CaCl2中で還元を行い、特異な結晶外形を持つ金属Mの微粉末を製造する。微細で非等方的な粉末製造例として、①電解コンデンサの焼結抑制効果のある「微細な針状TaおよびNbの粉末」、②触媒用「サイコロ状V粉末」を調査した。Ca還元、CaOの電解による還元(OS法)、および酸化物電解法(FFC法)で製造し、三法の反応メカニズムと粉末性状を実験で検討している。 Nb2O5のCaCl2中での還元で、Caを多量に用い強く還元すると球状のNbが生成するのみであるが、一旦、副反応物CaOとの複合酸化物CaNb2O6等を経由させると、幹から多数に分岐した枝状Nbが生成した。理由は次の二点である。①出発酸化物の外形形状をそのままに、酸素を失うと、出発酸化物の形骸構造を持った金属粉末となる。特に短時間の強還元で粉末同士の焼結が抑止された場合に生じる。②副生成物のCaOと出発酸化物が反応して、異方性を有する中間的複合酸化物CaxMyOzを一旦生成し、さらに還元が進む。この場合の複合酸化物の形態や結晶構造を強く反映した外形を持つ特異な形態(板状や針状、棒状、サイコロ状など)を持つ金属粉末となる。 本年度の調査結果では②の理由が妥当であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画した様に針状や板状という結晶ではなかったが、大きく枝分かれした枝状の結晶を合成することに成功した。このような結晶の製造例は我々が以前にTaで報告したもののみであり、それをNbでも確認したことになる。このように普遍的な反応であることを示したので、すでに本研究の半分の山場は越した。 では何故そのような特異な形状の結晶が生成するのかについて、前報では溶融塩内の濃度分布が還元剤と副生成物の拡散反応を阻害すると考えて説明したが、どうやら短時間であっても複合酸化物を一旦形成するからである、と考えられる。複合酸化物の関与が著しい結晶外形のゆがみを生じるであろうとの当初の目論見通りに進展している。 電気分解では反応速度が遅いため、このような特異な形状が生成しないのであろうと類推しているが、この仮説は未だ実証できていない。また、サイコロ状V粉末の製造実験は手がけたばかりであり、本研究期間の後半で追求したい。 電解反応の途中で生成するCOおよびCO2ガスの分析により反応メカニズムの中核に迫りつつあり、粒子の形態と廃ガスの関係に新たな注目点が出てきた。 以上、研究計画通りに実験結果が出ており、排ガス分析については顕著な実績を上げている。よって研究期間終了時には目標以上の成果を上げることは間違いない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに着実に二つの酸化物について複合酸化物の効果を調べ尽くす。また、計画通り3つの還元法について試験を行い、これらの相違について速度論的な観点から比較検討する予定である。これらの成果として当初計画通りの目的達成に問題はない。 昨年度心配した、市販試薬がないこと、酸化物混合で合成しようとしてもなかなか反応しないで複合酸化物が得られなかったこと、の問題点は、酸化物を溶融塩中で反応させることによってクリアした。溶融塩に浸漬すると400℃も低温であるにかかわらず、たちどころに複合酸化物を合成するので、この溶融塩の強い反応媒体としての作用も確認できた。これによりバナジウムの複合酸化物類もたちどころに合成できると楽観している。 高濃度までCOガスが分析できるように装置の改造が進めばさらに研究は進展すると期待している。
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Causes of Carryover |
広い濃度範囲で分析する必要が生じたため赤外線式ガス分析計を改造して対応しようとしたが、横河電機の対応が遅く、見積もりでは5ヶ月かかるとの回答であり、年度をまたぐことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在改造するための調査に入っており、夏までには改造して使用できる見込みである。このための費用、約150万円を見込んでおり、ちょうど繰り越した金額に相当する。
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Research Products
(24 results)
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[Presentation] CO2 Decomposition by Electrolysis in CaCl2-CaO Melt2014
Author(s)
Ryosuke O. Suzuki, Takuya Uchiyama, Takafumi Wakamatsu, Koya Otake, Mika Kitamura, Shungo Natsui, Norihito Sakaguchi, Tatsuya Kikuchi
Organizer
65th Annual Meeting of the International Society of Electrochemistry
Place of Presentation
EPFL, Lausanne, Switzerland
Year and Date
2014-08-31 – 2014-09-05
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