2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25290010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
平田 たつみ 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (80260587)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 嗅覚系 / 神経発生 / 軸索ガイド / マウス |
Research Abstract |
一次嗅覚神経回路は匂い情報を空間的に選別して、嗅球に「匂い地図」を作り上げるが、その地図がその後どのように処理されているかは不明である。本研究では、この二次嗅覚神経回路を、誕生日依存的軸索ガイドの違いを利用して、並列経路に分解する。そのためのツールとなる遺伝子組換えマウスを作出し、解析を行った。 神経細胞の誕生時期依存的に遺伝子組換えを起こすために、神経分化時期に一過的に発現する遺伝子プロモーター下に誘導型Cre組換え酵素(Cre-ER)遺伝子をつないだトランスジェニックマウスを作成した。具体的には、neurogenin1プロモーター11系統、neurogenin2プロモーター5系統、neuroD1プロモーター2系統、neuroD4プロモーター5系統を作出した。これらを全てloxP-STOP配列をもつレポーター系統と交配して、タモキシフェン注射により、誕生時期依存的遺伝子組換えを誘導した。組換え効率と組換え神経細胞の脳内分布を詳細に解析した結果、有用な5系統を選択した。中でも、嗅球の投射神経細胞の遺伝子組換えには、Neurogenin2プロモーターを用いた2系統と、neuroD4プロモーターを用いた1系統が、極めて有効であることが確認された。 嗅球特異的プロモーターを用いたloxP-STOP配列レポーターマウス14系統を作成した。その中から、発現効率のよい3系統を選択した。これらのマウスと、上記の誕生時期依存的Cre-ER系統との組み合わせで、嗅球細胞の誕生時期依存的な回路の解剖学的解析を進めている。また、ジフテリア毒素遺伝子を持つレポーター系統との組み合わせで、嗅球神経細胞の誕生日依存的破壊を行い、予備的な匂い行動実験に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、神経細胞の誕生時期依存的組換えを誘導するために、マウス系統を作り直すところから着手した。その甲斐があって、既存の系統とは比べ物にならない効率で誕生日依存組換えを誘導できるマウス系統を複数得る事ができた。使用したプロモーターごとにそれぞれ特徴があり、今後、様々な用途への利用が期待できる。本研究だけでなく、他の研究にも応用可能な有用なリソースが得られたという点で、期待以上の成果であった。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 嗅球投射神経の誕生時期依存的な軸索投射領域の解析: 昨年度の研究で作出したCreER系統と、嗅球特異的レポーター系統とを交配して、タモキシフェン注射により、誕生時期依存的遺伝子組換えを誘導する。そして、誕生時期の異なる嗅球神経細胞の軸索と樹状突起の投射パターンを詳細にマップする。 2) 嗅球投射神経の誕生時期依存的破壊による嗅覚機能の解析: 上記の系統に、ジフテリア毒素遺伝子を持つレポーター系統を組み合わせて、誕生時期依存的に嗅球神経細胞を除去する。匂い行動実験を行って機能的な異常を検出する。 3)軸索ガイド分子関連遺伝子の破壊による嗅覚二次神経回路の分解: 二次嗅覚神経回路形成を制御する軸索ガイド関連2遺伝子のコンディショナル突然変異アレルを持つマウスを作成した。嗅球特異的ノックアウトを行い、標的への軸索投射が完了した成体において、どういった回路異常が生じるかを解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文の受理が遅れ、論文掲載料の支払いが年度を超えてしまったため。 26年度初旬に、論文掲載料(カラーページ料金+ページチャージ)で、25年度残金は全て使用予定。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] The synaptic targeting of mGluR1 by its carboxyl-terminal domain is crucial for cerebellar function.2014
Author(s)
Y. Ohtani, M. Miyata, K. Hashimoto, T. Tabata, Y. Kishimoto, M. Fukaya, D. Kase, H. Kassai, K. Nakao, T. Hirata, M. Watanabe, M. Kano and A. Aiba
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Journal Title
J. Neurosci.
Volume: 34
Pages: 2702-2712
DOI
Peer Reviewed
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