2014 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌幹細胞維持および悪性化に関わるシグナル分子の解析
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25290045
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
前田 愼 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40415956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝田 渉 横浜市立大学, 先端医科学研究センター, 准教授 (00435819)
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90518945)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝臓がん / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. E-カドヘリンの発癌への影響の解析 E-カドヘリンノックアウトは門脈域に幹細胞の増加を伴う、胆管炎を発症する。E-カドヘリンの発癌への影響を、肝臓特異的に変異型Krasを発現するマウスにて検討したところ、CDH1ΔLマウスではコントロールと比して、腫瘍数、腫瘍径の増加が観察された。さらに、CDH1ΔLの腫瘍の一部ではCD44, Sox9などの幹細胞マーカーの発現増加および上皮‐間葉転換 (EMT)が観察された。肝癌細胞株を用いた検討では、E-カドヘリンの発現とCD44の発現には負の相関が観察され、E-カドヘリン発現細胞株においてE-カドヘリンノックダウンすると、EMTが観察されるとともに、癌幹細胞化を示唆するCD44増加およびスフェロイド形成能の亢進が認められた。上記のマウスを用いて、高脂肪食を摂取させることによる幹細胞、発癌への影響を観察した。高脂肪食摂取により発癌は亢進したが、肝細胞癌だけではなく、胆管細胞癌が増加した。また、門脈域の胆管新生の増加だけではなく、ゾーン2における胆管新生も増加した。近年胆管細胞の新生が肝細胞からの分化により起こることが報告されており、In vitroによる肝細胞から胆管細胞様細胞への変化を観察したところ、E-カドヘリン欠損により亢進すること、また高脂肪食モデルにて誘導される炎症生サイトカインによりさらに亢進することを示した。すなわち、E-カドヘリン欠損により、肝細胞は容易に幼若胆管細胞へ変化し、またその変化は炎症によりさらに亢進することが明らかとなった。 2.肝臓から3次元培養によって、オルガノイド培養を行い、その方法論を確立した。肝細胞の移植可能なマウスを用いて、オルガノイドの移植を行い、肝内で生着可能であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幹細胞の由来を調べるため、細胞特異的ラベルを目的に幾つかの細胞特異的 (CK19-creERT, Alb-creERTなど)にクレリコンビナーゼを発現するマウスの交配を行っているが、その産出が予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
癌幹細胞とEカドヘリンとの関係の解析は順調に進行している。特に、すでに分化したと考えられる成熟肝細胞がEカドヘリンの欠損や炎症生サイトカインによって脱分化し、幹細胞の方向へ向かうことを仮説として、そのメカニズムを解析する。
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Causes of Carryover |
マウスの繁殖が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年6月-10月 マウスの繁殖が可能となり、マウスの組織学的、分子生物学的解析を行う。
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