2013 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザRNAポリメラーゼのウイルス増殖における分子制御
Project/Area Number |
25291016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
朴 三用 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 教授 (20291932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 健 島根大学, 医学部, 教授 (70293701)
杉山 佳奈子 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー, その他部局等, 研究員 (20623226)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インフルエンザ / RNAポリメラーゼ / 抗体 / 構造解析 / 創薬 |
Research Abstract |
インフルエンザRNAポリメラーゼはウイルス増殖の中心的な役割を担っており、他のウイルスタンパク質と比べ変異が起こることが少ないため新規薬剤ターゲットとして注目されている。本申請者は、RNAポリメラーゼが持つ3つのサブユニット(PA, PB1, PB2)のうち、どれか1つのサブユニットでも欠けるとウイルスの増殖機構が失われる事に注目し、PA/PB1とPB1/PB2サブユニット複合体の構造解析に世界で初めて成功した(Nature, 2008; EMBO J, 2009)。その知見を基に本研究では、これらのRNAポリメラーゼの断片に結合するモノクローナル抗体を作製し、ウイルス増殖の阻害抗体の開発を行う。さらに、抗体を用いたヒト細胞内におけるウイルス増殖メカニズムの解明、および抗体とのタンパク質複合体の構造解明による抗体から医薬への創薬基盤の構築を目指す。 H25年度では、RNAポリメラーゼのドメイン部分を抗原として合計55個のモノクローナル抗体を作製し、得られた精製モノクローナル抗体と抗原タンパク質との複合体を作製し、分析用超遠心機Analytical Ultracentrifuge (AUC)により、抗原であるRNAポリメラーゼタンパク質との結合能を確認した結果、3個の抗体は抗原タンパク質と特異的に結合する抗体である事を確認出来た。今後、ウイルス増殖を阻害する抗体である事を確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インフルエンザRNAポリメラーゼはウイルス増殖の中心的な役割を担っており、他のウイルスタンパク質と比べ変異が起こることが少ないため新規薬剤ターゲットとして注目されている。本研究ではRNAポリメラーゼの断片に結合するモノクローナル抗体を作製し、ウイルス増殖の阻害抗体の開発をする目的で、昨年度ではRNAポリメラーゼのドメイン部分を抗原として合計55個のモノクローナル抗体を作製に成功した。得られた精製モノクローナル抗体と抗原タンパク質との複合体を作製し、分析用超遠心機により結合能を確認した結果、3個の抗体は抗原タンパク質と特異的に結合する抗体である事を確認出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAポリメラーゼタンパク質の発現とモノクローナル抗体作製 昨年度と同様に抗原タンパク質であるRNAポリメラーゼのドメイン構造の発現、精製を行い、マウスを用いてモノクローナル抗体の作製を行う。抗体の作製は、マウスへの抗原の免疫、抗体力価の確認、ハイブリドーマの作成、ハイブリドーマのスクリーニング、ハイブリドーマのマウスへの腹腔内注射による腹水の回収、の手順で行う。ハイブリドーマのスクリーニングとして、ELISAおよび免疫沈降法を行い、抗原との結合能が高いものを選択する(研究分担者)。このような手順で、既にPA/PB1複合体のモノクローナル抗体を得る事に成功している。現在、細胞レベルでの実験を行っている。 抗体の精製・抗原タンパク質との複合体作製 上記の方法により得られたモノクローナル抗体の精製を行う。通常、抗体の精製には抗体結合カラムであるProtein A(あるいはProtein G)カラムが用いられるが、このカラムからの溶出にはpH3程度の溶液を用いる必要がある。抗体-抗原の結合に影響を及ぼす可能性があるため、Protein Aカラムを用いない精製法の確立を行う。本申請者はタンパク質の発現系の構築に必要な様々な設備が既に揃っている(タンパク質の大量培養器、PCR, DNAシーケンサー、FPLCなど)。タンパク質の発現後、精製に必要な精製用カラム、精製の自動条件検討が出来るタンパク質液体クロマトグラフィーシステムを初め、大量のタンパク質を精製できる設備を既に保有している。精製後目標としたタンパク質の確認は、質量分析器(MALDI-TOF/MS)により確認を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度では、タンパク質の発現、精製、タンパク質の結晶化などの消耗品を節約した結果次年度使用額が生じた。 本計画班の研究経費に関して、設備備品費として、高速液体クロマトグラフィー(GE社、AKTAprime plus)を申請している。タンパク質試料の調製を行なうにあたり、近年、高速液体クロマトグラフィーは必須であり、特に結晶化のためにできるだけ大量の試料を必要とする場合、これらの装置は迅速な試料調整を可能にする。以上のように、設備備品は研究を迅速に且つ効率的に進める上で必須なものである。その他の大型装置類、X線発生装置や、構造解析専用計算機、などは本研究グループに現有のものを使用していくが、そのメンテナンス費用(「その他」として申請)が必要となる。 消耗品に関しては、タンパク質発現・精製に関する経費(遺伝子工学用酵素、タンパク質精製用試薬、ガラス器具、プラスチック消耗品等)とその結晶化条件検索用の結晶化キット(Hampton社、JB社など約1,000条件)などを計上している。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Homopiperazine derivatives as a novel class of proteasome inhibitors with a unique mode of proteasome binding.2013
Author(s)
Kikuchi J, Shibayama N, Yamada S, Wada T, Nobuyoshi M, Izumi T, Akutsu M, Kano Y, Sugiyama K, Ohki M, Park SY, Furukawa Y.
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Journal Title
PLoS One.
Volume: 8(4)
Pages: e60649
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Insight into structural diversity of influenza virus hemagglutinin.2013
Author(s)
Cho KJ, Lee JH, Hong KW, Kim SH, Park Y, Lee JY, Kang S, Kim S, Yang JH, Kim EK, Seok JH, Unzai S, Park SY, Saelens X, Kim CJ, Lee JY, Kang C, Oh HB, Chung MS, Kim KH.
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Journal Title
J Gen Virol.
Volume: 94(80
Pages: 1712-1722
DOI
Peer Reviewed
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