2013 Fiscal Year Annual Research Report
メダカゲノムを用いた発生重要遺伝子のエピジェネティック発現制御機構
Project/Area Number |
25291048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 洋幸 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80179647)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / メダカ / DNAメチレーション / ヒストン修飾 / ゲノム |
Research Abstract |
H25年度では、競争が激しくなっている未分化ステージでのepigenetic codeの解読とその特徴に集中して研究を行った。 ES細胞と同様に未分化で多分化能を有する胞胚期(2000-4000細胞期)では発生重要遺伝子(selector 遺伝子など)のほとんど(250個程度)が、発現する前にもかかわらずDNAの低メチル化と抑制的(H3K27me3)および促進的(H3K4me2)の両方のヒストン修飾を受けているが、その生物学的意味が以下のように明らかとなった。 まずDNAメチル化は一般的には転写に対して抑制的であると考えられていたが、H3K27me3で制御される発生関連遺伝子においてはその低メチル化領域が広くなるほどH3K27me3レベルが上がり、遺伝子発現は強く抑制されていることが明らかとなった。H3K27me3を修飾するポリコーム遺伝子群はCpGアイランドに結合するが、DNAメチル化はその結合を阻害することがあるので、本研究の結果と合わせると、large K27HMDにおいては低メチル化状態のCpGが大量に存在することでポリコーム遺伝子群の結合が増え、H3K27me3レベルが高くなっていることが示唆された。これによって未分化細胞では、発生に重要な転写因子の発現が強力に抑制されることで分化が抑えられていることが示唆される。逆に、成熟した組織ではK27HMDのサイズが縮小することでそれらの転写因子の発現を維持している可能性が考えられる。一方、これらの遺伝子が発生過程で発現を開始し、その発現が維持される場合には、低メチル化領域の縮小(non-promoter 領域のDNAメチル化亢進)が起きることも判明した。従って、DNAメチル化は発生初期での転写抑制と発生後期の転写維持に深くかかわっていることが判明した。これらの研究成果は現在論文としてまとめられ投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未分化状態のepigenetic codeは競争が激しい分野で、これまでの成果を年度末までに何とか論文としてまとめて、投稿することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
epigenetic codeの成立機構の理解を目指して、重要なcis配列の特定を、系統差を利用またはin silico上でのsimulation等で進めて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は未分化ステージの解析に集中したため、器官分化に伴うepigenetic codeの変化の解析の一部を平成26年度に行うこととしたため。 まずzic1/4 に注目して、胞胚期に発生重要遺伝子として特別なepigenetic修飾を受けた後、胚期で体節内の背側特異的に発現が誘導され、その後成体まで一生維持される。この間のepigenetic code の変化を詳細に調べる。また、消化管の領域化の確立および維持機構を解析するために消化管上皮の分化および領域維持に重要な転写因子群(foxa2, pdx1,ptf1a, nkx6.1, cdx1/4など)の発現を再現するリポーターTg系統を確立する。
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