2013 Fiscal Year Annual Research Report
エピゲノムのデジタル変換による適応進化:オーミクスと実験進化による検証
Project/Area Number |
25291080
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 一三 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30126057)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 進化 / ゲノム / 細菌 / 遺伝学 |
Research Abstract |
ピロリ菌日本株5株ヨーロッパ株1株について、第三世代シーケンサー(Pac Bio RS)を用い、一分子リアルタイムシーケンシング(SMRT)技術で、一塩基の分解能で全ゲノムのメチル化状態(メチローム)(4mC, 6mA)を解読した。株によってメチル化の程度とパターンは大きく異なっていた。保存メチル化ホットスポットが、RNAポリメラーゼ遺伝子などで見出され、新たな遺伝子発現制御機構が示唆された。トランスポゾンではメチル化が低かった。これは真核生物でのメチル化によるサイレンシングと対照的である。メチル化塩基の周辺配列を検索することで、メチル化モチーフを数多く検出し、それらと対応させて、多くのメチル化配列認識遺伝子の認識配列を明らかにした。私たちが提案した「遺伝子内の複数サイト間での標的DNA配列認識ドメインの移動(DoMo)」による認識配列変換のしくみが、機能していることを証明した。ごく近縁な株で、DNAメチル化の配列認識に違いができるミクロ進化の複数のパターンを発見した。 さらに、トランスクリプトーム解析(RNA-seq)で、配列特異性遺伝子の欠失によって顕著に発現が変化する遺伝子塊を発見した。そこには、複数のメチル化配列があり、そのうち最上流のものは、対称的タンパク質の結合サイトと推測される長いパリンドローム(回文配列)に埋め込まれていた。これらの結果は、「DNAメチル化の配列特異性の変換が、エピゲノム(メチローム)の変換と、それに伴うトランスクリプトームと形質の変換をもたらし、進化に寄与する」という「エピジェネティックス駆動進化」モデルを支持する。 ピロリ菌のさらに多くの配列特異性遺伝子のノックアウトについて、増殖などを検討した。大腸菌では、認識配列既知のDNAメチル化酵素のいくつかを発現させ、トランスクリプトームと形質を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
PacBioマシンによるメチローム解読は、私達の知る限り我が国で初めての論文刊行となる。 DNAメチル化酵素系を多数持つピロリ菌の近縁株のメチローム比較から、それらの認識配列を決定することができた。とくにI型については、特異性遺伝子の二つのサイトの間を配列が移動するというドメイン移動(DoMo)の仕組みを証明することができた。これは、いわば「遺伝子内の遺伝子変換」とも言える新しい遺伝子進化の機構である。また、DNAメチル化酵素系の配列特異性が、アミノ酸配列のわずかの違いで、わずかに進化するというミクロ進化の例を複数発見した。実験室での特異性変換実験は多いが、株間比較での証明は初めての報告であろう。 また、メチル化の密度を測定することによって、メチル化ホットスポットとコールドスポットを発見した。ホットスポットには、RNAポリメラーゼ遺伝子などがあった。全くあたらしい制御機構が示唆される。コールドスポットにトランスポゾンがあったことは、真核生物の場合とは逆である。 さらに、I型の特異的メチル化を取り去る事によって、遺伝子の発現が変わることを初めて証明した。これは、メチル特性の変換が遺伝子発現に影響することを強く示唆するけっかであり、エピゲノムの状態による適応進化というモデルの証拠となる。 次年度の予定を先取りする形で、これらの結果を拡張し、また、大腸菌では、多数の認識配列既知のDNAメチル化酵素の発現に成功し、それらのトランスクリプトーム測定、形質解析に入った。
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Strategy for Future Research Activity |
解析を予定通り継続する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の第一段階が予想より効率的に進行し、画期的な論文刊行が実現でき、突破口が開かれた。次年度からは、スケールアップになり、多くの消耗品費、人件費を使う事になる。 消耗品費:689,941円、旅費:200,000円、人件費:1,800,000円(150,000円x12ヵ月)を予定。
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Research Products
(31 results)
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[Presentation] Methylome diversification through changes in the sequence specificity of DNA methyltransferases2013
Author(s)
Ichizo Kobayashi, Hiroe Namba, Tomoko F. Shibata, Tomoaki Nishiyama, Shuji Shigenobu, Yutaka Suzuki, Sumio Sugano, Mitsuyasu Hasebe, Yoshikazu Furuta
Organizer
Infectious Disease Genomics & Global Health Conference
Place of Presentation
Wellcome Trust Conference Centre, Cambridge, UK
Year and Date
20131017-20131017
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