2013 Fiscal Year Annual Research Report
炭素フラックス観測サイトへの窒素散布実験による物質循環と生物多様性変化の解明
Project/Area Number |
25292079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
日浦 勉 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70250496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60237071)
宮崎 祐子 岡山大学, 農学部, 助教 (20443583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 窒素負荷 / 物質循環 / 植食者 / 炭素フラックス / 開花結実 / 土壌呼吸 / リモートセンシング |
Research Abstract |
初夏と晩夏に窒素散布区と対照区のミズナラ、シラカンバ、ケヤマハンノキそれぞれ複数個体で林冠葉の形質解析と植食者群集のサンプリングを行った。また、林分単位でリターフォールによる葉の食害度を計測した。その結果食害度は、林分単位では対照区で10%、窒素散布区で15%だったが、樹種毎に応答は異なり、ミズナラは増加、シラカンバは低下、ケヤマハンノキでは変化無しだった。 窒素散布区と対照区の合計約320地点から、ミズナラの細根を採取し、その呼吸活性、構造特性および連続分光反射プロファイルを測定した。窒素散布後4ヶ月後の8月末には細根のサンプリング調査を行った。その結果、呼吸速度および形態特性には窒素散布の有意差な影響は認められなかったが、呼吸速度は直径および組織密度と負の相関関係にあり、比根長とは有意な正の相関関係にあった。組織密度は窒素負荷によって低下したことから、構造的な変化を通して呼吸活性、炭素収支が将来的に変化する可能性が示唆された。近赤外波長帯の反射は根直径や組織密度が増加するに従って増大することが判明した。 施肥前の4月に両試験区内のそれぞれ3ヶ所において表層から0-10cmの土壌を5繰り返しで採取し、2mmの篩を通した細土について全窒素・炭素量、無機態窒素現存量、窒素無機化・硝化速度の測定を行った。また、窒素の可動性が異なるとされる53μmで分画した粘土・シルトと結合した有機画分(以下、MAOM)、砂土と結合した有機画分(以下、POM)についても全窒素・炭素量の測定を行った。これらの項目に違いは見られず、以後、窒素負荷の影響を追跡することが可能であると考えられた。4月末に50kgN/haに相当する量を施肥し、生育最盛期の8月と生育終了期の土壌の採取を行い、上記と同様の調査を行った。施肥後もこれらの諸性質に明瞭な違いは生じなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各観測項目はいずれも予定通りに進行している。学会発表は行っているがまだ論文の公表は行われていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も融雪直後に施肥を継続し、昨年度と同様の比較観測を行う。成果のまとまったものから順次論文として公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に十分な研究打ち合わせを行っていたため、改めてキックオフ会議を開く必要がないと判断し旅費に余裕が生じた。また、当初野外作業の一部を謝金でまかなう予定だったが、研究林職員実行で行った。 当該助成金は翌年度の研究費と併せて大規模野外実験・観測の継続だけでなく、中間報告会の実施などに使用する。
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Research Products
(4 results)