2014 Fiscal Year Annual Research Report
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25292111
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
香川 聡 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (40353635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 健 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 室長 (00353839)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酸素同位体 / 炭素同位体 / 年輪 / 産地判別 / セルロース |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続いて、本年度はXYステージとドリル部からなる試料導入部を製作した。XYステージ上の薄片をドリルにより削ったところ、木粉が乱流・静電気等の理由により元素分析計の管内への導入されにくいという問題が明らかになり、現在解決策を検討中である。木材産地判別・古気候復元に必要な年輪の同位体比分析を迅速に行うに当たっては、成長錐コア試料採取作業の効率化も重要である。試料の採取作業の省力化・効率化を図るため、電動レンチを活用する方法を考案し、現在適切なトルクを得られるような装置を開発中である。昨年度までに、木口薄片をαセルロースに抽出した後、薄片から年輪を切り分ける新しい手法により、従来の年輪の安定同位体分析に比べ10-100倍効率的な手法を開発したが、同手法を年輪年代学で用いられる主要6樹種(マツ、カラマツ、トウヒ、ブナ、ミズナラ、チーク)に適用し、新手法で得られるαセルロースの純度が従来の方法と同等であり、酸素・炭素同位体比が従来法で得られる値と差がないことを確認した(R2=0.96-0.98)。また、同結果を原著論文としてChemical Geology誌上に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料導入部の製作は当初の予定より遅れているものの、試料採取法において当初は予想しなかった改良点を着想し、またαセルロース抽出法を中心とした年輪の同位体分析法も予想以上に改善された(Kagawa et al. 2015, Chemical Geology)。個々のサブテーマでは進展が異なるものの、全体としては「年輪の安定同位体比分析の効率化を達成する」という目標に向けておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
電動レンチのトルクをより強力にすることにより、同位体分析試料の年輪コア試料(Φ5mm-12mm)の採取方法を自動化し、労力を大幅に軽減する。また、同手法を複数の樹種に適用し、採取できるコアの直径、長さ、採取可能コア数を評価する。 上記のドリルにより削った木粉が乱流・静電気等の理由により元素分析計の管内への導入されにくいという技術的問題の解決策を引き続き検討する。
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Causes of Carryover |
試料導入部を製作するに当たり、XYステージにより削った木粉が乱流・静電気により元素分析計の管内に落下しないという予想外の問題に直面しており、解決策を検討中である。この部分の使用が確定しないと、ステンレス製密閉容器の寸法等が決定しないため、これらに要する費用の繰越額が生じた。また、分析に使用するための成長錐コア試料採取方法を自動化するという当初予想しなかった改良点を見出したので、自動化のための装置を作成する新たな必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
木粉を元素分析計の管内に落下させるための技術的解決策を検討する。試料導入部の寸法等の使用が確定次第、ステンレス製密閉容器を製作する。また、試料採取自動化のための装置を作成・改良する。
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Research Products
(2 results)