2014 Fiscal Year Annual Research Report
魚類インターフェロンの機能解明による魚類疾病予防法の開発
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25292129
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中西 照幸 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00322496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間野 伸宏 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (10339286)
荒木 亨介 鹿児島大学, 水産学部, 助教 (30409073)
杣本 智軌 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40403993)
高野 倫一 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (40533998)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 魚類 / クローンギンブナ / インターフェロンγ / T細胞 / 細胞性免疫 / 細胞内寄生細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
組換えIFNγ・IFNγrelを用いた細胞性免疫機能の活性化について、 同種鱗移植片拒絶反応をモデルとして検討した。その結果、組換えIFNγrel 1の投与により拒絶が促進された。また、移植部位におけるIFNγ 1・IFNγ 2及び細胞傷害因子の発現が増加するとともに、CD4及びCD8陽性T細胞並びにsIgM陽性細胞の増加が認められた。また、4種類のIFNγアイソフォームは、夫々鱗移植後の発現時期や発現量が異なるとともに、移植片拒絶に及ぼす投与効果についても異なっていた。以上のことから、アロ移植片拒絶において4種類のIFNγが異なったメカニズムで関与していることが示唆された。 インターフェロン受容体として知られるII 型サイトカイン受容体ファミリーであるCRFB遺伝子14種類をゼブラフィッシュより単離し発現ベクターを作製し、 IFNγrel受容体を発現していないヒト培養細胞株HEK293T細胞に発現させ、組換えIFNγrel 1との結合性をフローサイトメトリーにて解析した。その結果、IFNγrel 1はCRFB5及びCRFB17と相互作用を示すことが判明した。 細胞内寄生性細菌であるノカルディア菌に対するワクチン開発を目的とし、クローンギンブナを用いて、生菌及び死菌のワクチンの有効性について検討した。その結果、生菌及び死菌いずれにおいてもワクチンの有効性が認められるとともに、組み換えIFNγ投与により感染防御能が向上することが判明した。 ヒラメを用いて、細胞内寄生細菌(Edwardsiella tarda)及びウイルス(ウイルス性出血性敗血症、VHS)に対するワクチンにおける組換えIFNγの効果について検討した。その結果、E. tarda及びVHSいずれの不活化ワクチンについても、同時にType I IFNあるいはIFNγを接種した場合には、攻撃試験において、不活化ワクチンのみに比べてIFNを同時に投与した場合に有意に死亡率が低下した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度には下記の成果が得られた。 1) 細胞性免疫の代表的な反応である移植片拒絶反応をモデルとして、4種類のIFNγが細胞性免疫応答において異なったメカニズムで関与していることを明らかにした。2)魚類特有のIFNγrel 1がII 型サイトカイン受容体ファミリーであるCRFB5及びCRFB17と相互作用をすることを示した。3).細胞内寄生性細菌のカルディア菌について、生菌及び死菌いずれにおいてもワクチンの有効性が認められるとともに、組み換えIFNγ投与により感染防御能が向上することを明らかにした。4)細胞内寄生細菌(E. tarda)及びウイルス(VHS)に対するワクチンいずれにおいても、不活化ワクチンのみに比べて組換えIFNを同時に投与した場合に有意に死亡率が低下し、アジュバント効果を有することが明らかとなった。 以上、当初の計画以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の成果を踏まえ当初の予定通り、魚類特有のIFNγrelの受容体の機能解明、魚類特有のIFNγrelの好中球及びマクロファージの機能に及ぼす影響解析、ウイルス及び細胞内寄生性細菌に対する感染防御におけるIFNγの役割解明、IFNγを用いたウイルス性疾病及び細胞内寄生細菌による疾病の予防法の開発、IFNγの産生を指標とした免疫増強剤の開発、並びにIFNγアジュバントを用いた有効なワクチンの開発について検討する。
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Research Products
(28 results)