2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25292183
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
宝達 勉 北里大学, 獣医学部, 教授 (00129264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 友美 北里大学, 獣医学部, 講師 (20525018)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コロナウイルス / 猫伝染性腹膜炎 / ワクチン / 抗TNF製剤 |
Research Abstract |
致死性ウイルス性疾患である猫伝染性腹膜炎(FIP)では、有効なワクチンおよび治療法が存在しない。FIPウイルス(FIPV)感染では、ウイルスが抗体と共にマクロファージに取り込まれることで、ウイルス感染が増強すると共にTNF-αが過剰に産生され、重篤な症状を引き起こす。この現象は抗体介在性感染増強(ADE)と呼ばれる。本研究ではADE作用を誘導しない細胞性免疫誘導型ワクチンを開発するため、ウイルスに存在する細胞性免疫誘導エピトープを同定する。また、抗TNF-α製剤が治療に応用できるか否かについても併せて検討する。平成25年度はワクチン抗原のpeptideのスクリーニングおよび抗猫TNF製剤の作製を実施した。 ワクチン抗原のpeptideのスクリーニングについては、FIPVのMembrane(M)蛋白質およびSpike(S)蛋白質の一部(S1 region)を基に実施した。その結果、いずれの部分においても細胞性免疫を有意に誘導するエピトープを含むpeptideの同定に成功した(Takano and Hohdatsu et al., 2014, Vaccine 32:1834-40)。また、以前、我々が報告したFIPVのNucleocapsid(N)蛋白質由来の細胞性免疫を有意に誘導するエピトープを含むpeptideをアジュバントと共に猫に投与して、FIPV感染後のFIP発症を防御できるか否かを調べたところ、発症の防御は認められなかったものの、症状を緩和することに成功した (Takano and Hohdatsu et al., 2014, Antivir Ther in press)。 抗猫TNF製剤については、先ず、過去に我々が作製した抗猫TNFマウス抗体がFIPの症状を緩和する可能性を明らかにした(Doki,Takano and Hohdatsu et al., 2013, Res Vet Sci 95:1248-54)。今後は、臨床に応用するために本抗体の改良を実施する予定である。猫TNF-αを中和する猫TNFレセプターについては、現在、開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要にも記した通り、FIPの予防および治療を目的としたワクチンおよび抗TNF製剤の開発は順調に進んでおり、いずれに関しても、海外学術雑誌においてその成果を公表した。特にFIPVのワクチン抗原としてのpeptideのスクリーニングは、当初2年間の予定であったが、研究が順調に進み、初年度でその目的を果たした。抗TNF製剤については、2年間の予定で研究を進めており、その成果の一部は既に公表した。平成26年度においては、更に進展した研究結果を公表する予定である。以上の踏まえると、本研究はおおむね順調に進展している、と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
FIPVワクチンに関しては、平成25年度の実験において得られた、細胞性免疫誘導活性が高いpeptideを使用して、実際に猫に投与する(平成26・27年度の2年計画)。その後、投与した猫において細胞性免疫が誘導されたか否かを測定する。その後、FIPVを攻撃することで、投与したpeptideが本当にFIP発症防御に有効なワクチンとして応用できるか否かを検討する。なお、peptide単独では猫に対する免疫誘導能に乏しい可能性が考えられるので、その場合はワクチンアジュバントとして、CpG-oligodeoxynucleotides (CpG-ODNs)を使用する。本アジュバントは猫に対して高い細胞性免疫誘導能を保有することが明らかになっている(Satoh et al., 2011. Micobiol. Immunol. 55:184-190)。 抗TNF製剤については、実験的に作出したFIP発症猫に、作製した抗TNF抗体および組換え猫TNFRを投与して、その治療効果を検討する。抗TNF製剤の投与時期については、FIP発症の指標となる血液中のリンパ球(CD8陽性T細胞およびsIg陽性CD21陰性B細胞)の変動、A/G比、α1-急性糖蛋白質およびTNF-α量を定期的に測定することで判断する平成26・27年度の2年計画)。 上記二つの実験は、実際に多くの猫を必要とするので、in vitroの結果を精査して、慎重に実施する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Use of recombinant nucleocapsid proteins for serological diagnosis of feline coronavirus infection by three immunochromatographic tests.2013
Author(s)
Takano, T., Ishihara, Y., Matsuoka, M., Yokota, S., Matsuoka-Kobayashi, Y., Doki, T. and Hohdatsu, T.
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Journal Title
J Virol Methods
Volume: 196
Pages: 1-6
DOI
Peer Reviewed
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