2014 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル分子としてのNO・H2Sの光制御投与法の開発と疾患モデルへの応用
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25293028
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中川 秀彦 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (80281674)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / ケージド化合物 / 薬学 / 有機化学 / 光スイッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに開発した青色光制御可能なNOドナーについて、光照射時間および照射光強度に応じて放出NO量が変化するかを確認し、時間および光量に応じてNO投与量を変化させることが出来ると分かった。また、繰り返し照射によって、NOを任意のタイミングで繰り返し放出ON-OFFが可能であることがわかった。次に、細胞応用および動物組織への応用を行った。培養細胞に当該NOドナーを投与し、部分的な青色光照射を行ったところ、照射位置でのNO放出が起こることが確認された。さらに、ラット大動脈切片を作成し、化合物を投与したのち青色光照射を行うことで、血管拡張を光制御出来ることを示した。 昨年度までに合成したUVA領域光制御可能なH2Sドナーについて、更なる長波長化を計るための分子設計を行った。これまでベンゾフェノン型からキサンテン型へと変更することで一定の長波長化の効果が得られたことから、キサンテン環をさらに長波長光吸収可能な多環複素環構造に変更する分子設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに開発し、in vitroでの効果を確認した化合物について、ex vivoでの応用が可能であることを確認しており、動物モデルへの応用について準備が出来つつある状態であるから。
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Strategy for Future Research Activity |
光制御NOドナーについては、更なる長波長化に取り組み、複数の色の光で制御可能な一連のNOドナーを開発することを目指す。また、これらの化合物について、動物モデルでのNO光制御に着手する。 光制御H2Sドナーについては、まず可視光領域で制御可能な化合物開発を優先し、その後動物組織、動物モデルと応用を広げて行く。
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Causes of Carryover |
培養細胞と動物によるNOドナーの応用の検証を一部次年度に廻したため。光制御H2Sドナーの開発を培養細胞のアッセイ実験より、長波長化合物開発に重点を置いて行ったため培養細胞関係の試薬・器具類を次年度に使用することとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
培養細胞での評価により重点が移るため、培養関係経費が増大することが見込まれる。また、動物モデルを用いた検討を進めるため共同研究を行うことが必要となるが、現地での動物準備や打合せ等をより綿密に行うことが必要となることが分かった。これらの経費として次年度使用分を使用する。
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