2013 Fiscal Year Annual Research Report
一細胞質量顕微鏡法による血液細胞のメタボローム解析
Project/Area Number |
25293044
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
瀬藤 光利 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20302664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 芳滋 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90274703)
早坂 孝宏 浜松医科大学, 医学部, 助教 (90415927)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血液細胞 / 質量顕微鏡 / 一細胞解析 / 代謝物 / 分子イメージング |
Research Abstract |
フローサイトメトリー法により健常人の血液細胞中のCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、B細胞、NK細胞を分離する条件を確立した。分離された細胞をインジウム酸化スズ被膜スライドグラスへ接着する際の遠心条件、洗浄方法、保存方法を検討し最適化した。更に質量顕微鏡解析におけるレーザー強度、質量範囲等の条件を最適化することにより、一細胞中の生体代謝物を網羅解析し各細胞中のリン脂質フォスファチジルコリン(PC)由来イオンを検出することができた。化合物の特定にはデータベース及び文献情報を利用した。即ち、健常人血液試料調整方法の確立と、質量顕微鏡法における血液細胞中分子の特定に成功した。 解析可能となった血液細胞サブセットのうち、T細胞の質量顕微鏡解析を進めた。PC(32:0)水素付加体に相当する質量電荷比(m/z)762.5がCD4陽性T細胞においてCD8陽性T細胞より低いシグナル強度で検出されたのに対し、PC(34:0)水素付加体に相当するm/z 772.5は高いシグナル強度で検出された。リンパ球の種類によりPC組成が異なることが明らかとなった。 また、多発性骨髄腫細胞株を添加したモデル血液を用いて、フローサイトメトリー法による患者検体からの骨髄腫細胞の分離・解析条件を検討し、最適条件を明らかにした。 血液細胞の一細胞質量顕微鏡解析は報告されておらず、脂質組成に着目した血液細胞亜集団の性状解析を推し進めたという点で非常に重要なものであった。更に本年度は計画を上回る進捗として多発性骨髄腫の回収方法を確立することにも成功した。多発性骨髄腫は形質細胞由来の悪性腫瘍であり、正常形質細胞との比較解析は骨髄腫の病態解明に繋がる可能性がある。以上から本年度はミクロ解剖学的にも基礎医学的にも極めて重要な成果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度達成目標であった、健常人からの血液細胞の回収方法の確立は計画通り達成できた。更に計画を上回る進捗速度で、回収した細胞を対象とした一細胞質量顕微鏡法の測定条件を確立することに成功した。3カ年を掛けて進める予定である血液細胞サブセット解析については、本年度はCD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞中の脂質・代謝物の検出・可視化に成功し計画以上の進展であった。検出された一部の分子について分子種を特定することができた点でも目標を上回った。さらに計画上は来年度以降に行うこととなっていた実施事項として、造血系腫瘍である多発性骨髄腫細胞の回収・解析方法を早くも確立することができた。従って本年度は、当初の計画を大幅に上回る進展を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画に従い、引き続き健常人血液細胞サブセットの質量顕微鏡解析に取り組む。今年度特定された血液細胞で発現する分子以外についても、引き続きデータベースあるいは多段階質量分析法を用いて特定作業を進めていく。造血器腫瘍細胞である多発性骨髄腫細胞の解析については、予定を上回って回収・解析条件を確定することができたので、患者検体を用いた実験に移行していく。計画通り、次年度は二次イオン質量分析法による解析にも取り組む。
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[Journal Article] Single Cell Lipidomics of SKBR-3 Breast Cancer Cells by Using Time-of-Flight Secondary-Ion Mass Spectrometry.2014
Author(s)
Ide Y, Waki M, Ishizaki I, Nagata Y, Yamazaki F, Hayasaka T, Masaki N, Ikegami K, Kondo T, Shibata K, Ogura H, Sanada N, Setou M.
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Journal Title
Surf Interface Anal.
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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