2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25293069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 章 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00162694)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / 腫瘍免疫 / 獲得免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗原特異的受容体を持つリンパ球は、自身の発現する抗原受容体によって自己・非自己を識別し、外来抗原に対しては免疫反応が、自己抗原に対しては演繹寛容が、それぞれ誘導される。実際の生体防御反応であっても、過剰な反応は有害であり、これを抑制するメカニズムとして、抗原特異的な負の制御機構が存在することが想定さるが、その実態は不明である。本研究では、抗原特異的な免疫反応を抑制している細胞群を同定し、その作用機序を明らかにすることを通じて、獲得免疫応答の根幹となる、抗原認識に依存した反応性決定機構と、その制御機構を明らかにすることを目的として、本年度は、自己免疫疾患発症の原因となる可能性を持つ、『抗原特異的免疫抑制細胞』の候補細胞を検索し、見出された候補細胞の由来する自己免疫疾患における意義などの検討を行った。 平成25年度に見出した、免疫を抑制する細胞機能が、抗原特異的であるかを順次検討、評価した。平成26年度に分析した種々の免疫抑制細胞の機能が抗原特異的である否かの検討を、自己免疫疾患モデル動物でもある、各種抗原特異的 T 細胞抗原受容体(TCR)および B 細胞受容体(抗体、BCR)のトランスジェニック(TG)マウスを用いて解析した。実験的自己免疫性脳炎(EAE)モデルにおいて、抗原特異的 TCR、BCR の TG マウスを抗原刺激する実験系を用いて、抗原特異的な免疫抑制細胞の候補を同定することができた。加えて、B リンパ球の分化、活性化の制御に、ヘム代謝を通じたミトコンドリア機能が関与することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の目標であった、自己免疫疾患発症の原因となる可能性を持つ、『抗原特異的免疫抑制細胞』の候補の同定に概ね成功し、この細胞の自己免疫疾患発症における意義について、一定程度の解析を行うことができた。加えて、B リンパ球の分化、活性化の制御におけるミトコンドリア機能の関与を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に予定したように、平成27年度までに同定した、自己免疫疾患発症の原因となる可能性を持つ、『抗原特異的免疫抑制細胞』の候補細胞群について、その機能が抗原特異的であるか否を、抗原受容体依存性の有無などを指標にを評価する。このために、各種の TCR、BCR 遺伝子の TG マウスを用い、必要に応じて抗原の投与などを行って、抗原特異性の有無、抗原受容体への依存性を検討する。これらの解析に必要な各種 TCR、BCR 遺伝子 TG マウスの系統維持、繁殖に努めることで実験の効率を高める。
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Causes of Carryover |
次年度に行う抗原特異的自己免疫疾患発症に関する解析用に用いいる各種トランスジェニックマウスの繁殖をあらかじめ行う計画であったが、これに用いる親マウスの数に不足が生じたため、繁殖用マウスの購入,動物飼育の補助を行う者の雇用と情報集のための外国出張を見合わせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度度見合わせた情報集のための外国出張を行うとともに、繁殖用マウス、細胞純化ならびに抗原特異的自己免疫状態の解析に必要な試薬類、抗体等の購入に充てる。
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[Journal Article] Mitochondrial function provides instructive signals for activation-induced B-cell fates.2015
Author(s)
Jang, K.-J., Mano, H., Aoki, K., Hayashi, T., Muto, A., Nambu, Y., Takahashi, K., Itoh, K., Taketani,S., Nutt, S. L., Igarashi, K., Shimizu, A. and Sugai, M.
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Journal Title
Nature Comm.
Volume: 6
Pages: 6750
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Safety and Antitumor Activity of Anti-PD-1 Antibody, Nivolumab, in Patients With Platinum-Resistant Ovarian Cancer.2015
Author(s)
Hamanishi, J., Mandai, M., Ikeda, T., Minami, M., Kawaguchi, A., Murayama, T., Kanai, M., Mori, Y., Matsumoto, S., Chikuma, S., Matsumura, N., Abiko, K., Baba, T., Yamaguchi, K., Ueda, A., Hosoe, Y., Morita, S., Yokode, M., Shimizu, A., Honjo, T. and Konishi, I.
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Journal Title
J. Clin. Oncol.
Volume: 33
Pages: 4015-4022
DOI
Peer Reviewed