2014 Fiscal Year Annual Research Report
転座関連および非転座関連悪性軟部腫瘍における分子標的の網羅的探索
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25293088
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小田 義直 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70291515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孝橋 賢一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10529879)
山元 英崇 九州大学, 大学病院, 准教授 (30404073)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 軟部腫瘍 / 孤立性線維性腫瘍 / 脱分化型脂肪肉腫 / 粘液・円形細胞型脂肪肉腫 / チロシンキナーゼ型受容体 / 癌精巣抗原 / Akt-mTOR経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
i)孤立性線維性腫瘍約100例においてp-Raf-1は63/76 (83%)が核に陽性、p-Mek1/2は70/76 (92%)が核に陽性、34/76 (44%)が陽性、p-ERK1/2は60/76 (78%)が陽性、p-STAT3は64/76 (84%)が陽性、p-FGFR1は49/76 (64%)が陽性、40/76 (52%)が陽性、Her2は47/76 (61%)が陽性、p-Her2は38/76 (50%)が陽性、DDR1は46/76 (60%)が陽性、p-DDR1は7/76 (9%)が陽性、14/76 (18%)が陽性、p-INSRβは51/75 (68%)が陽性という結果を得た。 ii)Gene microarrayを用いた解析において粘液型脂肪肉腫(MLS)での癌精巣抗原PRAMEの高発現を認めた。PRAMEと他の癌精巣抗原であるNY-ESO-1の発現解析をMLS93例、脱分化型46例、高分化型32例、多形型脂肪肉腫14例に対して、免疫染色、ウエスタンブロット及びreal-time PCRを用いて行った。免疫染色ではPRAMEとNY-ESO-1の陽性率はMLSで優位に高頻度であった。PRAMEとNY-ESO-1は単変量解析での予後不良因子であった。 iii)脱分化型脂肪肉腫(DDLS)群94例(高悪性度成分)、未分化多形肉腫MDM2/CDK4発現(UPS+)群6例、未分化多形肉腫MDM2/CDK4非発現(UPS-)群77例の3群におけるAkt-mTOR経路リン酸化タンパク発現プロフィールを比較した。DDLS群vs UPS群では有意にDDLS群でS6RPの発現が高かった 。DDLSにおいて高分化脂肪肉腫成分と高悪性度成分では、各蛋白は総じて高悪性度成分で高発現であり、mTOR、4EBP1では有意差を持って高発現であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
i) 転座関連軟部腫瘍でSTAT6免疫染色陽性もしくはNAB2-STAT6融合遺伝子陽性が確認された孤立性線維性腫瘍において複数のチロシンキナーゼ型受容体活性化及びシグナル伝達系の活性化が関与していることが推察され、これらが分子標的となりうることが示唆荒れた。 ii) 転座関連肉腫である粘液型脂肪肉腫(MLS)においてPRAMEもしくはNY-ESO-1の高発現は腫瘍径、壊死の存在、円形細胞領域>5%、高い組織学的Gradeそして進行した臨床Stageと有意な相関を示すことが明らかとなった。従ってPRAMEとNY-ESO-1がMLSの鑑別診断の補助的なマーカーと予後不良因子となり、これら癌精巣抗原を標的とした免疫療法の更なる発展が示唆された。 iii) 非転座関連肉腫である脱分化型脂肪肉腫(DDLS)群と未分化多多形肉腫(UPS)群で蛋白発現に有意差が見られたことは、両者が別の腫瘍であることを支持する結果であった。DDLSにおいて高分化脂肪肉腫成分と高悪性度成分では、各蛋白は総じて高悪性度成分で高発現であり、mTOR、4EBP1では有意差を持って高発現であったことが示された。従って特に高悪性度成分においてAkt-mTOR経路が治療標的となりうる可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)新たな転座関連軟部腫瘍の探索 i)未分化小円形細胞肉腫および未分化紡錘形細胞肉腫で既知の融合遺伝子が検出されていない症例、約90例に対BCOR-CCNB3およびCIC-DUX4融合遺伝子の有無を検索する。これら新規融合遺伝子を有する腫瘍群の臨床病理像を明らかにすると共にAkt-mTORシグナル伝達系の活性化状況をEwing肉腫や滑膜肉腫と比較する。 ii)孤立性線維性腫瘍に特異的なNAB2-STAT6陰性で孤立性線維性腫瘍に類似した組織像を呈する軟部血管線維腫と思われる群におけるAHRR-NCOA2融合遺伝子を検索し、それらの組織形態のバリエーションを明らかにする。 2)未分化多型肉腫におけるAkt-mTOR経路およびHSP90タンパク発現の検討:2013年の診断基準適合例100例におけるAkt-mTOR/ MAPK経路の活性化状況を検索し、HSP90タンパクの発現状況も検索する。Akt-mTOR/ MAPK経路およびHSP90タンパク発現の相互関係と臨床病理学的事項および予後との関係を検討する。培養細胞株においてHSP90の発現状況とHSP90阻害剤によるAkt-mTOR経路への影響、増殖能・浸潤能および運動能への影響を検索する。 3)平滑筋肉腫および横紋筋肉腫におけるFOXM1の発現とその分子標的としての可能性:平滑筋肉腫の臨床検体120例、横紋筋肉腫90例において免疫組織化学的にFOXM1発現を検索し、細胞周期関連タンパク発現および臨床病理学的事項との比較を行う。細胞株でsiRNA におるFOXM1発現抑制で、cDNA microarrayにてどのような遺伝子群に影響があるかを検索しFOXM1の標的遺伝子を検索し、臨床検体における標的分子の発現を検索していく予定である。
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Research Products
(51 results)
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[Journal Article] Tumour-associated macrophages correlate with poor prognosis in myxoid liposarcoma and promote cell motility and invasion via the HB-EGF-EGFR-PI3K/Akt pathways2015
Author(s)
. Nabeshima A, Matsumoto Y, Fukushi J, Iura K, Matsunobu T, Endo M, Fujiwara T,Iida K, Fujiwara Y, Hatano M, Yokoyama N, Fukushima S, Oda Y, Iwamoto Y
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Journal Title
Br J Cancer
Volume: 112(3)
Pages: 547-555
DOI
Peer Reviewed
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