2014 Fiscal Year Annual Research Report
こどもの事故の発生要因の解析と予防ー地域、年齢、疾患特性の解析ー
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25293120
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
松浦 信夫 聖徳大学, 児童学部, 教授 (50002332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 かほる 聖徳大学, 児童学部, 教授 (40532784)
西田 佳史 独立行政法人産業技術総合研究所, 産業技術総合研究所, 研究員 (60357712)
原田 正平 独立行政法人国立成育医療研究センター, 政策科学研究部, その他 (70392503)
腰川 一惠 聖徳大学, 児童学部, 准教授 (70406742)
峰尾 恵梨 北里大学, 医学部, 助教 (90566944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子どもの事故 / 子どもの傷害 / 保育園・幼稚園児 / 特別支援教育 / 自転車事故 / 事故発生時間 / 全市の事故 / 保育士・幼稚園教諭意識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は子どもの事故の発生状況を明らかにし、事故発生を予防する方策を明らかにしようとするものである。研究は2つの視点で進めている。1.大村市における全事故の解析:大村市のすべての幼児教育施設、市役所、警察、病院、環境省、産業技術総合研究所が協力して、すべての事故の登録を行っている。平成26年3月末で、総数195件の事故が報告され、解析を進めている。2.研究代表者が中心となって、3つの分野の施設から事故症例を集めている。1)病院の救急外来に搬送された事故、2)保育所・幼稚園で発生した事故、3)発達障害施設・外来・教育現場で発生した事故、である。平成27年度3月末で209例の事故が報告され、その解析を行っている。特徴的なものは、すべての事故で、男児が女児よりも多いことが明らかにされた。病院事故では自転車事故が圧倒的に多く、幼児教育施設では、一日の時間帯で発生数が異なること、特別支援学級では、健常生徒と同じ器具を使用するときに配慮が足りないために起こる事故があることなどが明らかになっている。最終年度は登録された事故症例をいろいろな視点から、その背景を分析する。その解析から、事故防止に繋がる方策を明らかにしたい。今までの結果から見られるのは、保育園・幼稚園児と事故発生の時間帯の関係、発達障害児と健常児の共同授業時の配慮、学童の自転車事故の対応などである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大村市における、すべての事故の登録は、順調に進み、現在までに3,000例を超えている。研究代表者も主に3つの分野から事故症例を収集し、分析している。保育園・幼稚園児の事故は最も多い。事故発生を週の曜日別に分類しても、大きな違いは認めないが、一日の時間帯で分析すると、朝に多い傾向が認められた。これを年齢別に評価すると、どの年齢でも同じ傾向が認められた。発達障害児では、同じ年齢の一般小児とは事故の種類が異なっていた。すなわち、自転車事故は少ない、転倒などの幼児に多い事故が多くなっている。特別支援学級になり、健常児と同じ用具を使用する時、筋力の差で事故が発生していた。救急医療機関に搬送される事故は、学童期に多く、圧倒的に自転車事故が多くなっている。特に坂道があるときに、転倒する事故が発生していた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度が、最終年度である。研究の目的は、事故症例の背景を明らかにして、その予防に繋げることにある。一番多い、保育園・幼稚園児の事故については、事故数の多い大村市の事故症例解析を合わせて、一日の時間帯と事故の発生を明らかにしたい。登園してまもなく事故を起こしているので、この時間帯を集中して、予防に繋げる方策を考える。園児だけでなく、保育士、幼稚園教諭にも、事故に対する考え方を聴取し、事故対応を進めていきたい。発達障害児の事故については、特に細かい配慮が必要である。健常児と一緒に雲梯で運動して、落下骨折が2件見られた。雲梯の下の土に、マットのような、衝撃を柔がれる敷物を敷くなどの対応が必要である。救急病院に搬送される子どもの事故は多彩であるが、自転車に絡んだ交通事故が多く見られた。ヘルメットの着用、ブレークの調整、坂道での対応など、教育すべきことが、多々見られた。
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Causes of Carryover |
2014年9月に「Safety 2014 World Conference on Injury Prevention and Safety Promotion」の年次会議がアメリカのアトランタで開催される予定であった。この研究班から、少なくとも3名が参加し、発表する予定で、約100万円の交通宿泊費を用意していた。しかし、主催するアメリカが学会開催に必要な費用が集まらず、急遽中止になってしまった。この分が、未使用で残ってしまった。この会議は、2016年9月にフインランド、Tempereで開催することに決まったが、残念ながら研究期間は終了している。ただ、私費で、この研究の成果を報告したいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度の予算に、これを加えて、従来の研究を継続すると共に、国内の学会(日本小児科学会など)に出席して発表する予定である。また、傷害(事故)予防に関連した、DVDを取りそろえ、講演会に使用する予定である。また、報告書を作成するに当たっての、資料、機器の購入にあてる予定である。
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Research Products
(10 results)