2015 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1bZIP factorによる炎症性関連疾患発症機構の解析
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25293219
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 雅雄 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10244138)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | HTLV-1 / HBZ / 炎症 / Foxp3 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.HTLV-1 bZIP factor(HBZ)による炎症、発がんにおけるインターフェロンガンマの重要性をPLoS Pathogに報告した。 2.HBZトランスジェニックマウスを無菌化して炎症、Tリンパ球の変化を解析した。無菌化によっても炎症が引き起こされ、腸内細菌叢の関与はなくHBZによる細胞内転写経路の撹乱が炎症の大きな要因であることが示された。 3.インターフェロンガンマにより発現誘導されるCXCL10ノックアウトマウスをHBZトランスジェニックマウスと交配したが、炎症の抑制は認められず、CXCL10-CXCR3経路の関与の可能性は少ないことが明らかになった。 4.HBZ-Tg/IFN-gamma KOマウスとHBZ-Tgマウスの比較からIl1f9, Fgr4, Nrxn3などが発がんに関連する遺伝子の候補として同定された。 5.IL-6ノックアウトマウスとHBZトランスジェニックマウスの交配実験から、IL-6欠失が予想とは逆に炎症・発がんを著明に促進することが明らかになった。このメカニズムの解析を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HBZによって誘導される炎症におけるインターフェロンガンマの重要性を明らかにし、論文として発表した。さらにIL-6欠損による予想外の影響を見出した。無菌マウスでも炎症の発症に差が認められないことから、腸内細菌叢は炎症に影響を与えないことが示された。HBZによる炎症にCXCL10は関与しないことも明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-6欠損により炎症の増悪、発がんの著しい促進があることを見出した。今後、その機序を解析し、HBZによる炎症・発がん誘導機構を明らかにし、HTLV-1関連疾患の病態を解明していく。
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Causes of Carryover |
研究の進展によりIL-6が炎症による発がん促進ではなく、発がんの抑制に 作用することが明らかとなり、その機構を明らかにする必要が生じた。 このためIL-6の作用機構に関する追加実験が必要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
IL-6ノックアウトマウスとHBZトランスジェニックマウスの交配実験、病理解析、免疫学的解析を行う。IL-6が炎症・発がんを促進する機序を明らかにするために、分子生物学的実験を行う。
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