2014 Fiscal Year Annual Research Report
STAT3の遺伝子変異により発症するアレルギーの病態形成機構の解明
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25293232
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
峯岸 克行 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 教授 (10343154)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
最近我々は、40年以上に渡ってその原因が不明であった免疫不全症、高IgE症候群の原因がSTAT3のドミナントネガティブ(dominant negatibe; DN)変異であることを世界で初めて明らかにした。高IgE症候群では全例で高IgE血症とアトピー性皮膚炎を発症する。このことはヒトにおけるSTAT3-DNの発現は、ヒトにアトピー性疾患を発症させることを意味している。しかし、STAT3-DN変異がどのようなメカニズムでこれらのアトピー症状を発症するかは現時点では世界的にも全く明らかにされておらず、そのため本症のアトピーには、対症療法以外の治療法は存在しない。
高IgE症候群における高IgE血症の原因を検索する目的で、まずその原因細胞の検索を行った。モデルマウスは、Stat3-DNのコンディショナルノックインマウスであるので、このマウスを各種の細胞特異的Cre recombinase発現マウスと交配することで、各種の細胞特異的Stat3-DN発現マウスを作製できる。これまでの検討で、T細胞特異的にCreを発現するLck-Creマウス、B細胞特異的にCreを発現するmb1-Creマウス、ケラチノサイト特異的にCreを発現するK5-Creマウス、骨髄単球系細胞特異的にCreを発現するLysM-CreマウスとStat3-DNfloxマウスを交配した。このうちで1系統のマウスにおいてのみ高IgE血症を認めそれ以外では高IgE血症を認めなかったことから高IgE血症の原因細胞の同定に成功したと考えている。
また、高IgE症候群のモデルマウスを用いてアトピー性皮膚炎モデルを樹立し、この詳細な検討を実施している。これにおいてもアトピー性皮膚炎に必須の分子、細胞を明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高IgE症候群のアレルギーの発症機構を明らかにする目的で、モデルマウスを利用した詳細な検討を行い、その発症の原因細胞を明らかにした。さらに、この高IgE症候群のモデルマウスを用いてアトピー性皮膚炎モデルを樹立し、このアトピー性皮膚炎に必須の分子、細胞を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
高IgE血症に関しては、in vitroの培養系に各種のサイトカインを添加し、IgEの産生の増強や抑制が野生型のB細胞とStat3-DNのB細胞で差異がないかをさらに検討する。さらに、IL-10やIL-21のサイトカインによるIgE産生機構の抑制が関与している可能性が示唆されているので、IL-10ノックアウトマウスやIL-21レセプターノックアウトマウスとStat3-DNマウスを交配し、その血清IgE値等をin vivoの条件で検討する。アトピー性皮膚炎モデルに関しては、各種の遺伝子改変マウスでの皮膚炎の検討を行い、どの様なメカニズムでアトピー性皮膚炎様の皮膚炎が発症しているかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
前述の研究経過で記載したとおり、今年度の研究計画にはマウスの飼育経費、技術補佐員の経費、試薬代が高価になると予想されたため次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度にマウスの飼育経費、マウスの飼育経費、技術補佐員の経費、試薬代に全額使用する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Simple diagnosis of STAT1 gain-of-function alleles in patients with chronic mucocutaneous candidiasis.2014
Author(s)
Mizoguchi Y, Tsumura M, Okada S, Hirata O, Minegishi S, Imai K, Hyakuna N, Muramatsu H, Kojima S, Ozaki Y, Imai T, Takeda S, Okazaki T, Ito T, Yasunaga S, Takihara Y, Bryant VL, Kong XF, Cypowyj S, Boisson-Dupuis S, Puel A, Casanova JL, Morio T, Kobayashi M
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Journal Title
J Leukoc Biol.
Volume: 95
Pages: 667-676
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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