2014 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒と高密度焦点式超音波を併用した新しい癌治療法の確立
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25293268
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
立花 克郎 福岡大学, 医学部, 教授 (40271605)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超音波 / 酸化チタン / 癌細胞 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の実験では、前年度に引き続きチタニア・シリカ水溶液のナノバブル化・マイクロバブル化の作成方法の開発を続けた。チタニア(酸化チタン)・シリカ材料等を軽量容器Vialに分注し、容器本体を高圧のパーフルロロカーボンガスで満たし、超高速振動装置を用いて5000~6000回/分で激しく攪拌して作った。[In vitro実験では専用の超音波発振素子と駆動装置を設計し、その性能試験を実施、癌細胞への影響を検討(生存率、アポトーシス、機械的細胞破壊の程度、ApopNexinTMFITC Apoptosis Detection Kit(CHEMICAL INTERNATIONAL)、など)。当初、予想していた測定しなければならない細胞数と条件の数が多く、計画していたサンプル数は10倍までに膨らんでしまった。この問題に対応する為に簡易的に細胞の生死判定ができるTC20自動セルカウンターと一度に数十個のサンプルデータを検知できる吸光マイクロリーダーを購入した。また、実験から得られる膨大な細胞形態の画像データを効率的に解析する為のWinRoof ソフトウェアーと附属の専用のパソコン(NECノートパソコン)を急遽、購入した。ナノバブルとマイクロバブルの発生メカニズムと細胞への影響を光学的に記録する手段としてLeicaの倒立型顕微鏡(DMi1MC120)を使うことで実験を効率的に進めることができた。チタニア・シリカ・バブル専用の光学式顕微鏡・高速ビデオカメラ・専用容器を併用した独自のシステムを組立組み立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階ではまだ最適な超音波条件(周波数、強度、Duty比、Burst rate、照射時間など)の発見には至っては以ないが、今後、さらに多くのサンプル数を解析することでチタンと気泡の最適の条件設定が可能になると予想される。
ナノバブル測定システムの確立に関してはチタニア・シリカバブルのスタンダードとなる大きさ、固さ、負電荷の微小気泡をつくり、均一で安定な製剤を製造しブラウン運動解析方法で測定する(NanoSightレーザー散乱イメージング法、測定は外注予定).ナノ粒子レベルの粒子径、粒子数、ナノバブル直径の測定に成功した。しかし、上記と同様の理由で、今後さらに多くのサンプル数の解析が必要である。細胞とナノバブルの関係・メカニズムの解明に多くの情報を収集しない限りは現段階では特別の要因を断定することはできない。 今後はチタニア・シリカ・バブル製剤と超音波照射を併用し、各種の腫瘍細胞(脳腫瘍、卵巣がん、膵癌、悪性黒色素腫、悪性リンパ腫など)の傷害効果を検討し、腫瘍局所へのバブル化抗癌剤の集積を確認する予定である。その後、本課題の最終年度に予定してる動物実験における 酸化チタン・ナノバブルの動物体内での動態と分布を検討する。動物実験を行うために必要なデータは現在までに50%達成できている。当初予定の成果はおおむね取得することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目標であるチタニア・シリカ水溶液のバブル化に成功した。また、昨年問題となったバブルの測定方法問題もほぼ解決した。しかし、昨年までに使用していた顕微鏡ではバブルの観測データが膨大になったので、解析するまでに多くの時間を要した。さらに実験データの収集と解析を効率するための高性能な顕微鏡と解析ソフトウエアを使うことで、実験の効率化を図りる予定である。今までにデータと今年度の前半のデータを解析し、必要なチタニア・シリカ溶液からバブルを作成する最適条件を決め、細胞実験を終了した後に動物実験へと進める方針である。
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Causes of Carryover |
これまでに使用してた旧式の顕微鏡ではがん細胞とチタニア・シリカ水溶液バブルを詳細に観察することができず、限界に達していたので、細胞の培養と動物実験の準備が大幅に遅延してた。この為の全体的に予算の執行が起こることが原因で次年度へ移行する形となった。今年度に新たに顕微鏡を購入した顕微鏡を引き続き使うことで遅れていた実験を飛躍的に進められると予想する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は主に癌細胞の培養用の消耗品とチタニア・シリカのナノバブルとマイクロバブルの作成費用に使われる予定でさる。また、その他の細胞への影響を検討する為の蛍光色素や試薬に使う。次年度使用額は当初予定の動物実験費には使われない。
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