2015 Fiscal Year Annual Research Report
アミノレブリン酸のX-線増感放射線療法の検証と遺伝子発現解析による作用機序の解明
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25293270
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 淳子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 主任研究員 (80415702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 崇 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40402218)
岩橋 均 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (60356540)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線療法 / X線 / 放射線増感剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロトポルフィリン(PpIX)前駆体の5-アミノレブリン酸(ALA)は生体に取り込まれ、腫瘍細胞には高濃度にPpIXが蓄積される。PpIXは光励起により活性酸素を生じるため、ALAは光線力学的治療(PDT)の増感剤として用いられている。我々はX線照射によりPpIXが活性酸素を生じることを見いだし、X線増感剤としての有用性を検証してきた。24年度終了課題(基盤C)では担癌マウスへのALA投与による腫瘍のPpIX蓄積、X線分割照射(合計30Gy)による腫瘍増殖抑制を検証した。腫瘍組織のマイクロアレイ解析では遺伝子損傷を原因とする細胞周期の停止が示された。ALA-PDTの研究報告は多いが適用範囲は光が到達可能な表層のがんに限られている。本研究では、多種類の癌に対するALA-X線療法の効果を検証し、遺伝子発現解析により作用機序を明らかにすることを研究の目的とした。 深部の腫瘍の選択的な治療を可能とするX線励起による物理化学療法であるALA-X線療法について、用量と抗癌効果の関係および作用機序を明らかにし、手法を確立するための基礎的データの蓄積を行う。その一環として、平成27年度は前年度に複数種類のヒト腫瘍細胞、マウス腫瘍細胞を選択し、マウスに接種した担癌マウスモデルを作成し、ALAの投与濃度、投与経路、投与時間と腫瘍内PpIX濃度のデータを取得し、線量を変えた分割照射と一括照射を行い、腫瘍抑制効果に対するデータを取得した。また、放射線照射後の腫瘍組織のマイクロアレイの解析により、ALA投与による線量低減効果の評価を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
5-ALAは既に光線力学療法、および光線力学診断の光増感剤前駆体として薬事承認を受けており、臨床適用に対する障壁は他の薬剤と比較しても低い。 平成27年度から臨床医との実用化に向けた議論を進めたところ、複数の医療施設の臨床医の参画を得られ、薬事申請に向けたロードマップつくりを開始した。この為、臨床ニーズが明確になり、ニーズに対して必要な実験項目を優先的に進めることが出来た。 また、放射線増感療法の基盤となるメカニズム解明の一環として、生体由来の有機化合物の放射線応答性を調べたところ、多数の放射線応答物質が確認され、さらなる放射線増感物質の可能性が見出された。 これらのことから、当初の計画以上の進捗が達成された。
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Strategy for Future Research Activity |
治験に向けた放射線増感プロトコールを定めるための担癌マウスモデルを用いたin vivo試験データを蓄積するとともに、放射線増感療法の基盤となるメカニズム解明に努める。
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Causes of Carryover |
調達を予定していた消耗品が、当初見込みより廉価に購入できたことから、余りが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の予算に加算し、マウスおよび試薬等を購入するのに充てる予定である。
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