2014 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍幹細胞由来エクソソーム解析による脳腫瘍形成機序解明と新規診断・治療法の開発
Project/Area Number |
25293311
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
溝口 昌弘 九州大学, 大学病院, 講師 (50380621)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中溝 玲 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80529800)
吉本 幸司 九州大学, 大学病院, 講師 (70444784)
天野 敏之 九州大学, 大学病院, 助教 (70448413)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 脳腫瘍 / グリオーマ / microRNA / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
脳腫瘍(グリオーマ)サンプルの分子病理学的解析:従来のマイクロサテライトマーカーを用いたLOH解析と本研究にて確立させたhigh resolution melting (HRM)法を用いて、10番染色体、1p/19q共欠失、IDH1/2遺伝子変異、さらにBRAF遺伝子、H3F3A遺伝子、TERT遺伝子の解析を加え、より正確な遺伝子型同定法を確立した。平成26年度は新規グリオーマ84例の解析を施行した。BRAF遺伝子、H3F3A遺伝子に関しては、さらに333例のグリオーマ症例に対し、後方視的に解析を加え、pilocytic astrocytoma, pleomorphic astrocytoma,gangliogliomaに優位にBRAF変異を認めた。H3F3A変異は、小児、若年膠芽腫に変異を認めた。 グリオーマ症例血中microRNA(miRNA)発現解析:新規グリオーマ症例術前の血漿または血清を採取した。血中miRNAは、全血またはExo-QUICKで抽出したエクソソームを対象に解析をおこなった。同時に摘出腫瘍サンプルの発現解析も同様におこなった。我々のこれまでの解析にて、グリオーマにおいて有意に発現変動を認めた7つのmiRNA (miR-21, miR-9, miR-10b, miR-22, miR-196a, miR-196b, miR-16)の解析を行った。原発腫瘍における高発現miRNA、miR-21が、その発現同定が可能であり、バイオマーカーとしての有用性が示唆された。 miRNA機能解析:miRNA発現制御による腫瘍形成制御を目的に、浸潤能に着目し、in vitroでの研究を継続した。miR-127, -145, -31の過剰発現により、浸潤能が有意に低下することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血中miRNAの解析が可能となり、今後の症例の蓄積により、分泌型miRNA研究を展開することが可能と考えている。脳腫瘍幹細胞を用いた動物モデルの作成に時間を要し、腫瘍形成過程におけるmiRNA発現変動に関する研究がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
同様にグリオーマ症例の摘出標本の解析を継続、発展させる。H26年度に同定した、血中バイオマーカー候補であるmiRNAの解析データの蓄積、さらに、血中miRNAの経時的変動、腫瘍型による特異性の解明に努める。同時にcell free DNA解析まで研究が展開できるよう、これまでの採取法も再検討していく。幹細胞培養、動物モデル作成により、解析データを蓄積する。
|
Causes of Carryover |
幹細胞培養は摘出標本より行うため、手術症例にその数が依存する。H26年度は、適応となる症例数、動物モデル作成に至るサンプルが少なく、次年度使用額を残した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
摘出標本からは積極的に幹細胞培養を行う。また、長期培養細胞を用いた、動物モデルを作成し、腫瘍形成過程におけるmiRNAの発現変動を検討する。
|
Research Products
(7 results)