2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞老化を克服した軟骨細胞分化誘導/維持メカニズムの解析
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25293321
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 香里 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (10633092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妻木 範行 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50303938)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細胞老化 / 間葉系幹細胞 / 軟骨細胞 / 分化誘導 / p53 / p53 isoforms |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、理研 Cell Bank より入手した若年期、老年期の健常者から提供された4種類のヒト骨髄由来間葉系幹細胞(若年期2種、老年期2種)間の donor age のp53、p53 isoforms (p53beta、delta133p53) の発現に与える影響を調べた。これまでのヒト正常T 細胞で得られた結果と同様に、donor age が高いサンプルではp53、p53betaのタンパク質発現が高く、delta133p53のタンパク質発現は低下していた。さらに、これらの4種の間葉系幹細胞を長期培養し、lifespan assayを行った。同じ細胞における培養開始時のサンプルと細胞老化に至ったサンプルとの比較では、これまでのヒト正常線維芽細胞における結果と同様に、delta133p53 のタンパク質発現が細胞老化サンプルで非常に低下していた。しかし、ヒト正常線維芽細胞とは異なり、p53 と p53beta の発現は細胞老化では上昇しておらず、変化無しあるいは低下していた。同様の lifespan assay をLONZA 社から入手したヒト骨髄由来間葉系幹細胞2種においても行い、同様の結果を得た。またこの培養による細胞老化の誘導前後の間葉系幹細胞を軟骨細胞に分化誘導させたところ、老化間葉系幹細胞は軟骨細胞に分化しにくいことが軟骨細胞マーカーの発現チェックにより明らかになった、 さらに間葉系幹細胞老化における p53、p53 isoforms の役割を明らかにするため、培養初期の細胞あるいは細胞老化に近い状態の細胞に p53、p53beta、delta133p53 を過剰発現させた。ヒト正常線維芽細胞の結果と同様に、老化状態に近い細胞にdelta133p53 を過剰発現させると lifespan の延長が認められた。しかし、培養初期の初期の細胞にp53 あるいは p53beta を過剰発現させると、ヒト正常線維芽細胞の場合と異なり細胞老化を引き起こさず、細胞死が誘導されることを認めた。また、これらのサンプルのメタボロムを網羅的に測定し、現在その解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度のマテリアル入手のための申請に時間がかかったことから、実際の実験の開始が今年度からになったため。しかし、開始後は順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
p53とp53beta を間葉系幹細胞に過剰発現させると細胞死を引き起こすので、今後は1)細胞老化状態に近い細胞にdelta133p53過剰発現させ、老化幹細胞とdelta133p53による老化が緩和した細胞で、軟骨細胞分化誘導にどのような影響があるか、2)誘導発現型ベクターを用いて間葉系幹細胞から軟骨細胞分化誘導過程で、p53、p53 isoforms を発現させ、軟骨細胞分化過程での影響を軟骨細胞マーカー分子の発現を中心に解析する予定である。また、これらの過程で、RNA-Seq 、ChIP-Seq 行い、p53、p53 isoform と軟骨細胞分化誘導と細胞老化との関連性を明らかにしていく。
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