2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規p53発現腫瘍融解アデノウイルスがもたらす化学療法・放射線療法ブースト効果
Project/Area Number |
25293323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
尾崎 敏文 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40294459)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國定 俊之 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80346428)
藤原 俊義 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00304303)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 骨肉腫 / ウイルス療法 / p53 / 化学療法 / 放射線療法 |
Research Abstract |
In vitroにおいてp53発現腫瘍融解アデノウイルス製剤(OBP-702)を用いて、骨肉腫細胞株(HOS, MNNG/HOS, 143B, U2OS, SaOS-2)、ヒト正常線維芽細胞株(NHLF)に対する細胞障害活性をXTTアッセイにて検討を行った。ウイルス製剤は時間・用量依存的に全ての骨肉腫細胞株に抗腫瘍効果を示したが、NHLFに対しては細胞障害活性を殆ど認めなかった。緑色蛍光タンパク(GFP)を導入したMNNG/HOS(MNNG/HOS-GFP)を樹立し、MNNG/HOS-GFPとNHLFの共培養下にウイルス製剤を感染させ、共焦点レーザー顕微鏡を用いて経時的な観察を行ったところ、72時間後にほぼ全てのMNNG/HOS-GFPは丸く形態変化して細胞障害が観察されたが、NHLFは変化を示さなかった。また、MNNG/HOS, SaOS-2を用い、その抗腫瘍効果メカニズムを、アポトーシス、オートファジーに関して解析を行った。ウイルス製剤感染後、用量依存的にWestern blotでCleaved-PARPの増加を認め、FACS assayではactive-caspase 3の発現増加、Sub-G1期の細胞割合の増加が確認できた事から、ウイルス製剤はアポトーシスを強力に誘導することが示唆された。また、p53を有しない腫瘍融解アデノウイルス製剤(OBP-301)はオートファジー細胞死を誘導することが明らかとなっているが、Western blot でLC3、p62に関して検討を行った結果、p53発現腫瘍融解アデノウイルス製剤はOBP-301と比較して、より少ないウイルス量でも強力にオートファジーも誘導することも明らかとなった。化学療法との併用効果検討のために、比較対象としてOBP-301を用い抗がん剤(DOX, CDDP)との併用効果検討を行ったところ、ウイルス蛋白であるE1Aを介して相加相乗効果を起こすことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroにおいてp53発現腫瘍融解アデノウイルス製剤(OBP-702)を用いて、骨肉腫細胞株(HOS, MNNG/HOS, 143B, U2OS, SaOS-2)、ヒト正常線維芽細胞株(NHLF)に対する細胞障害活性をXTTアッセイにて検討を行った。ウイルス製剤は時間・用量依存的に全ての骨肉腫細胞株に抗腫瘍効果を示したが、NHLFに対しては細胞障害活性を殆ど認めなかった。緑色蛍光タンパク(GFP)を導入したMNNG/HOS(MNNG/HOS-GFP)を樹立し、MNNG/HOS-GFPとNHLFの共培養下にウイルス製剤を感染させ、共焦点レーザー顕微鏡を用いて経時的な観察を行ったところ、72時間後にほぼ全てのMNNG/HOS-GFPは丸く形態変化して細胞障害が観察されたが、NHLFは変化を示さなかった。また、MNNG/HOS, SaOS-2を用い、その抗腫瘍効果メカニズムを、アポトーシス、オートファジーに関して解析を行った。ウイルス製剤感染後、用量依存的にWestern blotでCleaved-PARPの増加を認め、FACS assayではactive-caspase 3の発現増加、Sub-G1期の細胞割合の増加が確認できた事から、ウイルス製剤はアポトーシスを強力に誘導することが示唆された。また、p53を有しない腫瘍融解アデノウイルス製剤(OBP-301)はオートファジー細胞死を誘導することが明らかとなっているが、Western blot でLC3、p62に関して検討を行った結果、p53発現腫瘍融解アデノウイルス製剤はOBP-301と比較して、より少ないウイルス量でも強力にオートファジーも誘導することも明らかとなった。化学療法との併用効果検討のために、比較対象としてOBP-301を用い抗がん剤(DOX, CDDP)との併用効果検討を行ったところ、ウイルス蛋白であるE1Aを介して相加相乗効果を起こすことが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、p53 発現腫瘍融解アデノウイルス単独での効果の確認と細胞死形態評価に加え、抗がん剤との併用では、まず比較対象としてp53を有しないテロメラーゼ依存増殖型アデノウイルス(OBP-301)での併用効果検討を計画に追加し、詳細に抗腫瘍効果と、細胞死メカニズムの検討を行った。p53を有しないウイルス製剤においても併用で相乗効果が確認できた点は興味深く、なぜ相乗効果が認められたか、薬剤耐性遺伝子に関する影響などの検討を加えて解析を行う予定である。また、p53 発現腫瘍融解アデノウイルスと抗がん剤の併用効果については本年度の実験条件、結果を活かして条件を設定し、OBP-301+抗がん剤併用群とp53 発現腫瘍融解アデノウイルス+抗がん剤併用群の比較検討を行う。また、細胞死形態についても同様に解析を行うが、併用効果の違いについてp53を中心としたメカニズム検討を行う予定である。次に軟部肉腫細胞株(横紋筋肉腫細胞株(RD, A673), MPNST細胞株(sNF96.2, NMS-2)を追加し、放射線療法単独、ウイルス製剤単独、放射線+ウイルス製剤併用の3群に分けて抗腫瘍効果、DNA障害修復機構に与える影響を確認する。また、放射線とウイルス製剤投与のタイミングにおける抗腫瘍効果の違いに関しても検討を行う予定である。骨・軟部肉腫細胞株を用いてin vivoマウスを作成し、未治療群、抗がん剤投与もしくは放射線照射群、ウイルス製剤単独投与群、抗がん剤もしくは放射線照射群とウイルス製剤併用群の4群に分けて、腫瘍計やマウス体重を計測し、腫瘍増殖変化について検討する。腫瘍組織を用いて細胞死関連シグナルについての確認も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
軟部肉腫細胞株(横紋筋肉腫細胞株(RD, A673), MPNST細胞株(sNF96.2, NMS-2)を追加し、放射線療法単独、ウイルス製剤単独、放射線+ウイルス製剤併用の3群に分けて抗腫瘍効果、DNA障害修復機構に与える影響を確認する。また、放射線とウイルス製剤投与のタイミングにおける抗腫瘍効果の違いに関しても検討を行う予定である。骨・軟部肉腫細胞株を用いてin vivoマウスを作成し、未治療群、抗がん剤投与もしくは放射線照射群、ウイルス製剤単独投与群、抗がん剤もしくは放射線照射群とウイルス製剤併用群の4群に分けて、腫瘍計やマウス体重を計測し、腫瘍増殖変化について検討する。腫瘍組織を用いて細胞死関連シグナルについての確認も行う。今年度は上記実験を時間的理由で行うことができなかった。 このため上記実験などを今年度行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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