2013 Fiscal Year Annual Research Report
加熱・紫外線・架橋材の複合処理による失活歯の象牙質強化法の開発
Project/Area Number |
25293387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 美加子 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (40271027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩見 行晃 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90303982)
古谷 優 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20635411)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 象牙質 / 機械的性質 / コラーゲン / 架橋 |
Research Abstract |
失活歯の歯根破折は,歯科臨床において解決すべき重要な課題である.申請者らは,これまで加熱 や紫外線といった物理刺激,あるいは架橋材による化学処理にて象牙質の機械的強度が飛躍的に 向上することを発見し,この知見をもとに失活歯の破折防止のための歯の強化法の開発に取組んできた.本研究課題では,これまでに強化効果が認められた加熱, 紫外線および架橋材(水溶性カ ルボジイミド)を最適条件で組合せて処理することで, 象牙質の機械的強度が最大となる条件を 確定し,その際に象牙質の無機成分および有機成分に起こる微細構変化を検索することで強化 メカニズムの詳細を明らかにすることを目的としている. 平成 25年度は, それらのうち加熱と紫外線の複合効果について詳細に検索したところ、110~140°Cで5-10分象牙質を加熱しながら, 365~405nm の波長の紫外線を 5-15 分照射 するる ことによって, 曲げ強さは加熱および紫外線前と比較して最大 3 倍高くなる ことを発見した. さらに, その強化メカニズムは, X線回折により加熱によってコラーゲンのトリプルへリ ックスの分子間距離が 14オングストロームから11オングストロームへ約30 収縮するとともに、長波長の紫外線によりコラーゲンからラジカルが発生する事で、分子間に水素結合や水分子を介した分子間結合が形成されるとこにより強化につながっていることを明らかにした。加熱と紫外線の相乗効果で、より象牙質を効果的に強化できる事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は予定していた、加熱、紫外線、および架橋材のうち加熱と紫外線による象牙質強化の相乗効果をうむ処理条件を確定する事に成功した。これは、3年間の計画の全体の半分以上の成果を占めるものであり、計画自体は順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
加熱、紫外線、および架橋材のうち、まず架橋材による強化効果を確定し、つづいて加熱と紫外線との組み合わせを検討して、それらによる象牙質強化の相乗効果を発揮できる複合処理条件を確定する。以上は、申請時に計画したとおりであり、象牙質の強化メカニズムを明らかにするとともに、失活歯強化法の確立を検討できるものと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は加熱と紫外線による物性変化に着目して実験を先行させたため、外注委託にてコラーゲン分析の費用が見積もりより少なくなった。これについては、本年度集中的に実施する予定である。 本年度は、昨年度の加熱および紫外線による変化に加えて、架橋材による変化にも着目し、外注委託によるコラーゲン分析を集中的に行う予定である。
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