2013 Fiscal Year Annual Research Report
足関節背屈角度を指標とした転倒ハイリスク者の識別と転倒予防プログラムの開発
Project/Area Number |
25293465
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
坂本 祐子 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (20333982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 覚 東邦大学, 医学部, 教授 (90323013)
大崎 瑞恵 福島県立医科大学, 看護学部, 講師 (70525948)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 転倒リスク / 転倒予防 / 足関節背屈角度 / 高齢者 |
Research Abstract |
介護老人保健施設(老健)入所高齢者を対象に足関節背屈角度の測定・転倒リスクの評価と測定以降1年間の転倒の観察と,転倒予防介入プログラムの開発を行った. 福島県内の老健8施設の入所者のうち,日常生活を2足歩行で営む128名の入所者から研究参加同意を得た.そのうち体調不良や測定直前の退所者を除く104名の足関節背屈角度と,転倒リスクとしてTimed Up & Go(TUG),Functional Reach(FR),認知機能を測定,内服薬,既往歴など含む健康状態,過去の転倒についての基礎調査を実施した. 基礎調査の結果概要は,男性25名(24%)女性79名(76%),平均年齢は85.3±6.5歳であった.要介護度は2が36名(35.3%)と最も多く,次いで1が26名(25.5%),3が22名(21.6%)であった.Barthel Indexの平均は66.6±13.6,MMSEの平均は14.8±7.7であった.足関節背屈角度は右が14.9±9.0度,左が16.9±10.7度であった. 過去1年間に転倒の経験のあった入所者は,より高齢で,MMSEの得点が低く,介護度が高く,TUGにおいて時間がかかっていた(p<0.05).また,有意差は出なかったが,転倒経験者では足関節背屈角度,FR,足首周径のそれぞれにおいて,左右差が大きい傾向が見られている. 介入プログラムの開発は,介入用具として前脛骨筋を鍛える前脛骨筋トレーニングスリッパを第1選択に,介入条件(1回の所要時間,回数,継続期間),身体負担等について検討している.既存のスリッパは,片足の荷重500g,両足で1㎏の荷重となり,入所者には負荷が大きいという見解に施設リハビリテーションスタッフと至った.次年度以降,スリッパ開発者,足関節背屈角度計開発者,理学療法士から専門知識の教授を受け,荷重量を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福島県内の介護老人保健施設8施設,128名の入所者より研究参加の承諾を得て,104名の基礎調査の実施にいたっている.施設看護職・介護職・リハビリテーションスタッフともに連携が図れており,その後の転倒の追跡調査も実施できている. 介入プログラムについては,“前脛骨筋トレーニングスリッパ”の改良(荷重量)が必要であろうという見解に達している.
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Strategy for Future Research Activity |
足関節背屈角度や転倒リスクなどの基礎調査を終了した入所者の転倒を追跡するとともに,9月までに転倒予防プログラムを開発する.その後,通所リハビリテーション(ディケア)利用者を対象に,介入プログラムのプレテストを実施する.そのための協力施設も確保済である. 前年度実施した基礎調査において,認知症の重症度や歩行補助具の使用などから足関節背屈角度以外の運動機能について,全項目測定できた入所者は6割であった.転倒リスクの指標として足関節背屈角度の有益性を追検証するために,角度と転倒歴・TUGやFRとの関連性を検討する調査を,ケアハウス入所者を対象に実施する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付申請額と大幅に差額が生じているのは,人件費・謝金の項目である.理由は2点あり,第1点は,調査協力者に対する報償について施設側と相談し,謝金ではなく謝品となり減額となったこと,予定者数が80名少ない120名となったことにある.第2点は研究協力者を雇用し測定する予定であったが,代表研究者と分担研究者で測定可能だったため,協力者の雇用を必要としなかったため人件費が不要となった. 繰り越した研究費は,申請時に計画していなかったケアハウス入所者の測定と,介入用具である“前脛骨筋トレーニングスリッパ”の改良費に使用する計画である. 調査旅費,成果報告,前脛骨筋トレーニングスリッパ開発者と意見交換・専門知識の教授を受けるための旅費として使用する.
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