2015 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア火山災害地の復興型資源利用にみる自然と社会の復元力に関する研究
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25300014
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
二宮 生夫 愛媛大学, 農学部, 教授 (80172732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 昌広 高知大学, 自然科学系, 教授 (80390706)
嶋村 鉄也 愛媛大学, 農学部, 准教授 (80447987)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 災害復興 / 復興型資源利用 / 変容可能性 / 一般レジリエンス / 特定レジリエンス / 外来種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2010年に大規模噴火をしたインドネシア・ジャワ島のムラピ山域における被災地の一次遷移と景観の復興過程を追跡し、今後の熱帯域における環境利用のあり方を提示することを目的とする。現在のムラピ山では1)天然更新を促進する国立公園内のコアゾーン、2)限定的に住民利用を認めたバッファーゾーン、3)住民による耕作地、4)屋敷林などが代表的景観として確認されている。2010年の大規模噴火により被害を受けたこれらの景観における住民の生業および土地利用、復興に向けた習慣・精度の解明、物質循環などの調査を行い、学際的な視点から統合し、その景観の回復過程を明らかにし、ムラピ山域における復興型の資源利用方式を提示し、今後の熱帯域における環境利用に対する知見を提供することを目的とする。 調査の結果。この地域における社会と自然環境の復興とは、事前に想定された特定の被害に対処する手段(特定レジリエンス)が発揮されていたわけではなく、想定外の回復能力(一般レジリエンス)と、環境変化に対して柔軟に生業を変化させる住民の姿勢(変容可能性)が重要な役割を果たしていたことが明らかになった。例えば、自然景観の復興はアカシヤなどの外来植物が植生遷移を促進させることにより成立していた。これらの外来種は景観という観点からは否定的にとらえられがちなものである。また、噴火後に生じた土石流は、住民生活の基盤を一掃したが、これにより堆積した土砂は売買されるだけでなく運搬積載に関わる多くの雇用を生み出していた。外来種による遷移の促進は災害時に顕在化した現象である。同様に生業の変化は、特定の生業にこだわらない住民の柔軟な姿勢が顕在化していた。つまり、このような地域においては、通常時には見過ごされるが災害時に顕在化する現象がレジリエンスを担保していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者および、分担者である嶋村は当該年度に体調を崩し、充分な野外調査を行うことができなかったため、一部の調査が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでえられた調査結果、特にアンケート調査の結果の解析を行った上で、さらなる補足調査を行いたいと考える。また、被災地の土壌に関してもさらなる補足調査を行い研究成果としてまとめることとする。
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Causes of Carryover |
当該年度は研究代表者および研究分担者である嶋村の体調が悪かったため、充分に野外調査を行うことができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、これまでのアンケート調査の結果を解析し現地で補足調査を行うための渡航費と人件費、これまで行ってきた土壌分析をさらに行うための消耗品の購入及び分析補助者の雇用、これまでの成果を出版するための費用とする。
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Research Products
(1 results)