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2013 Fiscal Year Annual Research Report

ラオス中南部における少数民族の健康希求行動は乳児死亡の地域間格差をもたらすか

Research Project

Project/Area Number 25300015
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (B)

Section海外学術
Research InstitutionNagasaki University

Principal Investigator

奥村 順子  長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (40323604)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2018-03-31
Keywordsラオス / 少数民族 / 健康希求行動 / 乳幼児 / 死亡要因
Research Abstract

当初の計画では,サワナケート県のラハナムとセポンの両地域において,5歳未満の乳幼児を対象とする調査を実施する予定であった.ラハナム地域では,門司らによる人口動態システム変更にかかる作業のため現地調査員の労力負担が大きいこと,また,乳幼児の多くが両親の出稼ぎ先に同行しているなどの理由から調査を予定通り実施することが困難となった.そこで,セポン地域内で異なる部族が居住するAlang Yai, Kaegnpae Nai, Kaengluang Noy, Dong Noiの4村(ラハナム地域と同一部族も含む)を対象として抽出し,出生時およびその後の生活環境等にかかる基礎調査とそれに続く疾病罹患状況調査を実施することにした.当初は,平成25年11月および平成26年2月に疾病罹患調査を含む本調査を合計2回実施する予定であったが,平成25年11月より5ヶ月にわたり2週間毎に疾病罹患状況とその予後および疾病再発等に関する追跡調査を継続して実施することができた.
このコホート調査のシステム化は,今年度の意義深い成果の一つであり,小児の疾病罹患とその際の母親等の保護者による治療希求行動をより詳細にわたり把握することが可能となった.
上述のシステム化にあたっては,各村のVillage Health Volunteer (VHV)の教育・訓練が不可欠であった.その過程で,各民族間で微妙に異なる健康あるいは疾病罹患についての概念,そして予防接種に関する考え方の違い等,さらには調査対象をとりまく公的保健医療サービスの現状を整理し理解できたことも重要な意味を持つ.更に,身体測定の実施につき現地のセポン郡の保健担当部局より要望が出たことも大変喜ばしいことである.このような動きが出たことは,今後の調査活動を推進する上で有意義と考える.
平成26年度は,新たにVan yean Gnai, Vang yeang Noy, Sobsalyの3村を加えて,1年間継続して追跡調査を行う目処をつけることができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

セポン地域内には多様な部族が居住し,部族毎に村落が形成されている.ラハナムで主流であるプータイ族からなる村落もあることから,セポン地域内で乳幼児の健康状況と母親もしくはその他の保護者の健康および治療希求行動を含む文化・慣習などの背景を比較することは意義深いと考える.また,追跡調査の間隔を当初の計画では3ヶ月ごとに実施する予定であったが,2週間ごとに実施することが可能になったことで,調査対象の小児の健康状態とその変化をより詳細にわたり把握することができた.このことから,ラハナム地域での調査を当面実施しない方針に変更したことが,当初期待した成果に大きな影響を及ぼすことなく,むしろより緻密なデータ収集が可能になったといえる.
上記の理由から,初年度は当初の計画に比し,より緻密な調査体制を構築することができ予定していた内容をほぼ達成できたと自己評価している.
調査対象地域では,デング熱などの感染症のアウトブレークは観察されなかったが,前述の2週間毎のデータ収集を1年間にわたり継続して実施することが可能になったことで,平成26年度に実施する現地調査からマラリア,デング熱などの発生トレンドが把握できると期待している.
調査を実施したAlang Yai, Kaegnpae Nai, Kaengluang Noy, Dong Noiの4村から引き続き1年間の調査協力が得られること,そして,新たにVan yean Gnai, Vang yeang Noy, Sobsalyの3村が調査に加わることに同意が得られたことは,大変意義深い.

Strategy for Future Research Activity

セポン地域内で部族毎に形成されている7つの村落間(Alang Yai, Kaegnpae Nai, Kaengluang Noy, Dong Noi, Van yean Gnai, Vang yeang Noy, Sobsaly)で乳幼児の健康状態とその母親を中心とする保護者の健康希求行動,その文化・慣習などの背景を比較し,乳幼児の健康リスクをもたらす要因を探索する.対象となる7村に居住する部族は,プータイ族,トゥリ族,マンコン族であり,それぞれの村は単一の部族で構成されている.部族間の比較に加えて,川や主要道路からの距離なども異なることから,その視点からも乳幼児の疾病リスクに及ぼす要因を比較することができる.
セポン郡の保健担当部局からの協力を得て,対象乳幼児の身体測定を調査項目に加え,3~4ヶ月に1回程度実施し,疾病罹患のみならず成長の点からも解析できる体制を構築する方針である.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

ラオスにおける倫理審査に時間を要し,現地での調査活動開始時期が若干遅れたため,現地雇用の調査員に支払う謝金等が若干余る事態が生じた.
今年度は,調査対象地域を拡大し,新たに3村を追加することとなった.平成25年度に対象とした4村では,門司らにより構築済みであった人口動態システムから世帯に居住する乳幼児の数等を把握することができたが,今年度追加する3村については,世帯数のみならず,居住者の人数等の情報もないことから,一連の調査を実施するための各世帯へのIDの割り付けや家族構成の把握などの基本的な体制構築に平成25年度に使用しなかった予算を充てる.

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Published: 2015-05-28  

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