2017 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス中南部における少数民族の健康希求行動は乳児死亡の地域間格差をもたらすか
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25300015
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
奥村 順子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (40323604)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ラオス / 少数民族 / 健康希求行動 / 小児死亡 / 死亡要因 / 小児疾病罹患 / 栄養状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
セポン郡の7村(Alang Yai, Kaengpae Nai, Kaengluang Noy, Dong Noi, Van yean Gnai, Van yeang Noy, Sobsaly)における前向きコホート調査は,平成29年7月をもって3年間の観察期間を無事満了した.データのクリーニングとともに追加聞き取り調査を実施し,データベースの構築と解析に着手した. 調査開始時258名であった対象児(登録時5歳未満の小児)は,最終的に422名となり,3年間で382,109人日の対象児の健康状態を追跡することがきた.終了時の対象児の平均年齢は4.9歳(95% CI: 4.7 - 5.2歳)であった.総疾病罹患日数は2,804人日で,各年の平均罹病期間は1年目,2年目,3年目それぞれ7.3日(95% CI: 6.3 - 8.4日),6.4日(95% CI: 5.5 - 7.3日),5.7日(95% CI: 4.8 - 6.6日)であった.主たる症状は,発熱,咳,下痢であった. 昨年度,全7村において低身長が蔓延したことから,調査地全7村に慢性的な栄養摂取不良の問題があることが示唆された.また,セポン郡の商業地域にアクセスがよい村ほど,低身長児の割合が高かったことから,いわゆるNutrition Transitionによる弊害を疑い,保護者による食料品等の購入実態を探るための追加調査を行った.その結果,インスタントラーメン,スナック菓子,人工甘味料が添加されたジュースや豆乳等の甘味飲料を頻繁に子供に買い与えており,結果として食事として提供される食料の量が減少していることが判明した.子供たちの食事は,これまでの伝統的なものが,インスタント食品やスナック菓子に取って代わられるつつある.これらは,無用な支出を増やすのみでなく小児の成長に悪影響を与えている.得られた結果は憂慮すべきものであり,栄養に関する住民啓発活動の必要性が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年間に渡り,合計422名の小児を対象として2週間ごとに疾病罹患の有無、有病者における治療行動を追跡することができた.また,併せて身長・体重測定による対象児の成長にかかるデータも収集し,問題を明らかできる見込みである.これらのデータは,調査地の対象児の健康状態および保健医療サービス利用状況とその質が,ラオス政府による保健医療統計データよりもかなり低い水準であることが示唆しており,より詳細な解析を行うことで有意義な研究成果を得ることができる.これらの点でおおむね順調に進展してきたといえる. しかしながら,最終年度後半において研究代表者が実母の介護に割く時間が増加したために計画通りに研究を完了することができなかった.このため,研究期間を1年間延長するに至った.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度の後半に予定していたより詳細なデータ解析を行い,対象小児の死亡および疾病罹患等の健康に負の影響をもたらす要因を明らかにし,この成果を国際誌に投稿する予定である.併せて,これらの成果に基づく提言をラオス政府の保健医療関係者に還元したいと考えている.
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Causes of Carryover |
理由: 最終年度後半において研究代表者の実母の介護のために予定通りの解析と論文執筆を完了することができず,最終データ収集日が予定よりも数か月間遅れた.このため,小児の疾病罹患調査と身体調査および追加聞き取り調査等をリンクしながら解析するためのデータベースの構築や,研究成果に基づきラオス政府の保健医療関係者との協議を実施することができなかった.
使用計画: 今年度は,小児の疾病罹患調査と身体調査および追加聞き取り調査等をリンクしながら解析するためのデータベースを構築し,研究結果を国際誌に投稿するとともに成果に基づき明らかになった問題をラオス政府の保健医療関係者と協議するために残りの研究費を充てる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
30年度が最終年度であるため、記入しない。
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