2014 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア・オセアニア地域における呪術と科学の相互関係に関する文化人類学的研究
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25300054
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白川 千尋 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (60319994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯國 有佳子 大東文化大学, 国際関係学部, 講師 (90462209)
飯田 淳子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00368739)
川田 牧人 成城大学, 文芸学部, 教授 (30260110)
津村 文彦 福井県立大学, 学術教養センター, 准教授 (40363882)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 呪術 / 科学 / 東南アジア / オセアニア / 文化人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画していた平成26年度の研究活動(交付申請書記載)は、大別すると①海外調査の実施と②研究会の開催および研究の中間的な成果発信の二つである。 ①については、研究代表者と分担者が各自の研究対象国で個別に実施した。代表者の白川千尋は、前年度と同様、ヴァヌアツのポートヴィラ市で邪術による厄災を被った者への聞き取りを行い、厄災やその災因としての邪術と科学の関係をめぐる被害者の認識などについて情報を収集した。分担者の飯國有佳子は、ミャンマーのヤンゴン市とマンダレー市の近郊で仏教的な呪術的実践を行う「上道の師」に聞き取りを行い、かつては霊媒が行っていた呪術的実践が非仏教・非「科学」的なものとみなされ、「上道の師」の掌握するところとなっていることなどを把握した。飯田淳子は、タイ北部チェンマイ県で小・中学生や高校生を中心とした村人への聞き取りを行い、呪術的治療の受容と病院医療や学校教育の関係に関する情報収集を行った。津村文彦は、呪文の吹きかけによってヘビ毒咬傷などの治療を行うタイ東北部の治療師を対象として、治療効果が患者や治療師にいかに理解されているかを感覚に注目して分析した。川田牧人は、所属機関の異動などにともない予定していたフィリピンでの調査を十分に行うことができなかったが、前年度に続いて教育やメディアなどの現代的制度における宗教的観念の共存を中心に文献研究を実施した。 ②については、研究代表者・分担者全員が参加した研究会を2015年2月1日に成城大学にて開催し、今年度に各自が海外調査によって得た情報の比較検討や共有に努めた。一方、主な中間的成果発信としては、川田の企画により、飯田・津村らが発表者として参加したシンポジウム「呪術的実践=知の現代的諸相-科学/医療/宗教/その他の実践=知との並存状況から」を、2014年7月12日に京都人類学研究会(於京大人文科学研究所)にて開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに、研究代表者・分担者のほとんどが海外調査を実施できたこと、研究代表者・分担者全員が参加した研究会を開催できたこと、本研究の中間的な成果発信を行えたことなどによる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初計画通りに海外調査を中心とした活動を継続する。
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Causes of Carryover |
研究分担者1名が所属機関の異動などにともない、海外調査を当初計画通りに十分実施できなかったことなどによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画に従って、次年度分として請求した研究費と合わせて、海外調査、それを補完するための国内における情報収集、研究成果の公開などに使用する。
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Research Products
(24 results)