2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25301014
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
村瀬 信也 上智大学, 法学部, 教授 (80062660)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大気 / 大気汚染 / 気候変動 / 国際法 / 国際協力 / 国際法委員会 / ガイドライン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者が国連国際法委員会で提案した「大気の保護」に関するテーマが2013年正式に議題として採択され、研究代表者がその特別報告者に任命されたことによる。研究代表者は2014年に「大気の保護に関する第1報告書」(A/CN.4/667)を執筆したが、そこでは、大気の国際法の歴史、条約慣行、国際判例等の分析を行った。この報告書については同年5月-6月の委員会で議論され、同年10月の国連総会第6委員会(法律委員会)でも審議された。2015年には「第2報告書」(A,CN.4/681)を提出し、そこでは大気の法的な定義、大気に関するガイドライン草案の範囲、国際協力に関する検討を行った。これについては、同年5月の委員会で審議されたほか、同年11月の国連総会第6委員会でも審議された。 これらの報告書の執筆に当たっては、我が国を含む各国の国際法研究者から多くの支援を得た。国際法委員会がこのテーマを取り上げたことで、多くの学者が注目することとなり、ドイツ・ゲッチンゲン大学の Goettingen Journal of International Law が、2015年12月に「大気の保護」に関する特集を組むなど、国際的に大きな広がりを見せている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、研究成果をガイドライン草案に纏める作業をゆっくり進める予定であったが、2015年における国際法委員会での審議がスムーズに進行したため、計画を前倒しにして、2019年までに完了の予定である(当初は2020年を作業完了予定としていた)。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年3月に提出した「大気の保護に関する第3報告書」では、予定していた2年間分の研究対象をカバーすることができた。すなわち、国家の大気保護に関する義務、環境影響評価、持続的可能な大気の利用形態、環境改変技術の法的問題などである。今後の計画としては、大気国際法と関連の国際法(海洋法、国際貿易法、国際人権法)との相互関係、大気保護の義務の履行、遵守、紛争処理などの問題について報告書を執筆するとともに、ガイドライン草案を提案していく計画である。
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Causes of Carryover |
国際雑誌への掲載が1年先送りになったため、英文校閲謝金に予定していた費用を使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(16年度)に掲載が予定されている英語論文の校閲謝金として使用する予定である。
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