2014 Fiscal Year Research-status Report
中国の対ASEAN文化外交の実像とその政治社会的な影響に関する調査研究
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25301018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
首藤 もと子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (10154337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FAUCHER Carole 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (70463817) [Withdrawn]
毛利 亜樹 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00580755)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ASEAN / 中国 / 文化外交 / 孔子学院 / ソフトパワー / 広報外交 / 国際交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は平成26年度中に、中国の文化外交の近年の顕著な動向について調査を進め、12月に中間報告会を開催した。首藤は、昨年度に引き続き、ベトナム、タイ、マレーシア、ミャンマー、インドネシアにおける海外研究協力者との連絡調整を行い、また平成26年8月には、インドネシアにおいて華人系団体の中国文化保持と伝播に関する役割について調査した。毛利は中国の文化外交の展開について、中国側の研究動向を調べるとともに、中国の文化外交、広報外交戦略の政策的展開について資料を収集した。 こうした研究成果をもとに、平成26年12月23日にチュラロンコン大学(タイ、バンコク)において、本科研の共同研究者のうち、ミャンマー担当者が欠席した以外は、全員が参加して公開セミナーを行った。首藤が本研究の目的と研究対象の構成について説明し、次に毛利が中国の対ASEAN文化外交政策の展開について報告を行い、続けて、フィリピン、マレーシア、ベトナム、インドネシア、タイにおける中国の文化外交の近年の展開、およびそれぞれの社会での認識についての報告が行われた。それぞれの報告からは、中国のASEAN諸国に対する文化外交の具体的な展開が顕著になっていること、それは政府間の交流促進協定等公的な関係の進展による面もあるが、むしろ商業的関係、メディアによる広報活動、さらにそれぞれの社会に根差す華人系団体が進める中国文化やメディア活動があることが具体的に指摘された。 中国の対ASEAN文化外交が今後一層本格的になると予想されるが、ASEAN各国社会の内部において、こうしたさまざまな認識があることを抽出できたことは興味深い。こうした視点を今後さらに精緻化していく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中国の対ASEAN文化外交に関する基本的な動向は、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシアについては、ほぼ把握できた段階にある。ただ、ミャンマーに関する研究がまだ進んでいないため、この点について最終年度には成果を出せるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は最終年度であるため、中国側からの対ASEAN文化外交戦略について、その外交政策の形成と展開についてまとめる一方、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、マレーシア,ミャンマーにおいて中国の文化外交の顕著な動向はどのようなものであり、それは現地社会でどのように受容されているか、もしくは警戒されているかについて、ASEAN諸国側の認識をまとめる。
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Causes of Carryover |
第1の理由は、ミャンマーでの現地調査に充てていた旅費が平成26年度は未使用のままになったことである。第2の理由は、研究会合を当初シンガポールで予定したが、ホテル代等が高すぎたため、バンコクのチュラロンコン大学で開催した。それにより、バンコクでのホテル代が、当初の予算より少なくて済んだことがある。第3に、チュラロンコン大学での研究会合に、ミャンマーの調査報告を担当する協力者が参加できなかったことによる予算の軽減があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は最終年度であるため、ミャンマーでの調査を実施することを優先する。また、インドネシアでの調査について、首藤はジャワを行うが、さらに西カリマンタンでの現地調査も実施する計画であり、これらの調査の必要経費に充てる予定である。
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