2013 Fiscal Year Annual Research Report
家・家族・世帯の「家計」に関する日欧地域史的実証対比研究
Project/Area Number |
25301030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 基泰 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20261480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 晶子 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (30464259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 家計 / 家・家族・世帯 / 市場経済形成期 / 日欧地域 / 史的対比研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は日本および西ヨーロッパ社会において市場経済形成期に登場してくる農民の家・家族・世帯の「家計」に着目し、その形成史を明らかにすることである。その基礎作業として、本年度は、本テーマの近世・近代期日欧農村社会における「家計」形成史について、現時点での研究水準を探った。また、平行して本研究の重要な基礎となる日欧高次家計データベースと住居の建築史資料・現地実態調査を実施した。6月初めに研究実施の事前研究会を開催し、その後、累積研究会を開催した。場所は主に東京で行ったが海外出張時には現地でも開催した。研究成果を比較検討するための公開セミナーは、イギリス・ケンブリッジ大学の海外研究協力者であるCraig Muldrewおよびjanine Maegraith両博士、2人の招へい研究者の来日に会わせたため、年度を超し4月初旬となった(前者は短期招へい制度による。受入研究者:高橋)。ヨーロッパ社会科学史学会(オーストリア・ウィーン大学)も4月ではあったが、本研究テーマによるセッションを開催した。くわえて申請者は別のセッションで日本の事例報告(旧上田藩領上塩尻村の人口移動と女性労働力)を行った。 家計と消費経済との観点から、8月に国際農業史学会(スイス・ベルン)において日本との対比という立場で英国沼沢地縁り地域における経済活動について報告した後、ドイツ・ミュンヘン市近郊農村を巡検した。続いて、オランダおよびフィンランドにおける野外博物館を視察した。さらに、11月にケンブリッジ大学にて行われたヨーロッパ消費経済史研究ネットワークの研究会に参加しヨーロッパ全体の研究動向を探り、さらに2月にはスウェーデン・ユーテボリ大学で専門家のレビューを受けた。なお、『国際比較研究』第10号および日英の研究成果を叢書(愛媛大学経済学叢書18・19)として出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象地としてイタリアの地域を含めており、その研究に関しても、上記ヨーロッパ消費経済史研究ネットワークにおける研究概容報告で動向はつかんでいたが、その具体的対象地については、定められずにいた。が、2014年4月の招へい研究者であるJanine Maegraith博士が、旧ハプスブルク領現イタリアにおける研究事例を紹介し具体的対象地の選定が可能となった、また研究成果公表の一環としてセッションを開催したヨーロッパ社会科学史学会(ウィーン大学)において、申請時に挙げていたP.Viazzo教授に遭遇し今後の共同研究について理解と協賛を得たことで、進展が先んじる北欧諸国との対比も念頭において、より実証性を深める見通しが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果は必然として国際比較が主となるため、なるべく早期の英文による研究公表を心掛ける。 他方、スケジュール調整はネットワークの拡大化にともない努力が必要になる。そのためにも、 平素からの密なコミュニケーションを意識するようにする。また、上記のように東欧を含め研究者との交流で研究対象地が具体化してきており、当該地域への出張・巡検をも検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究計画の研究成果公表の一環として、年度をまたがる2014年4月に、まず、ケンブリッジ大学における海外研究強力者であるJanine Maegratth博士を愛媛大学に招へいし、オーストリア・ウィーン大学において開催のヨーロッパ社会科学史学会においてのセッション報告の準備を舌上で報告をした。また、村山聡香川大学教授および伊藤栄晃埼玉学園大学教授も本研究計画成果公表の一端を担っていただいた。 次年度使用額が生じたのは、彼らの渡航のための航空チケット取得を急ぐ必要があったためである。 本基金から、定期雇用のための謝金を出しているが、今回の次年度使用額が生じたために、補助金からの支出と併せて、年度末までの支払いを可能にする計画でいる。
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Research Products
(8 results)