2014 Fiscal Year Annual Research Report
家・家族・世帯の「家計」に関する日欧地域史的実証対比研究
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25301030
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 基泰 愛媛大学, 法文学部, 教授 (20261480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 晶子 神戸大学, 大学院人文学研究科, 准教授 (30464259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 家計 / 家・家族・世帯 / 市場経済形成期 / 日欧地域 / 史的対比研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
年度初め、学術振興会海外研究者短期招へいにより本科研費の海外共同研究者であるケンブリッジ大学歴史学部クレイグ・マルドルー博士、および科研費によりケンブリッジ大学ニューナム・カレッジ、ジャニーネ・マエグレース博士を招へいし、異なる国・文化を背負う研究者同士の対話・異文化コミュニケーションをすすめるとともに、日本の「現地」に触れることで発現する知見の提供を受けた。それに続き、ウィーンで開催された第10回ESSHC(European Social Science History Conferenceヨーロッパ社会科学史学会、4月23日~26日)において成果研究報告および本題目によるセッションを組織した。その成果の一部は現在ヨーロッパの出版社からの出版を目指し、現在編集中である。国内でも、全国学会3つにおいて、報告・シンポジウムの組織をおこなった:1.高橋基泰「市場経済形成期の氾濫頻発村落社会:新潟県新潟市西蒲原区中郷屋村イギリス経済史の観点から対比研究的コメント」2014年社会経済史学会全国大会(同志社大学)パネル・ディスカッション; 2 高橋基泰「英国沼沢地縁り地-帯における治水と防水の共同性-ケンブリッジ州ウィリンガム教区沼沢地役人会計記録を中心に」日本村落研究学会 第62回大会(宮古)・自由報告、11/1; 3 ミニ・シンポジウム「家計と消費 趣旨説明およびヨーロッパにおける研究動向」比較家族史学会秋季研究大会 (愛媛大学)、11/15。最後の研究動向では、その直前に行ったイタリア北部ブレッシア大学・パドヴァ大学での研究セミナーで受けた専門家のレビューの検討内容が反映されている。年度末には、研究成果の一部を『日英村落共同墓地史的対比研究』(愛媛大学経済学研究叢書20、1-281頁(2015年3月)として公刊している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、日本および西ヨーロッパ社会において市場経済形成期に登場してくる農民の家・家族・世帯の「家計」に着目し、その形成史を明らかにすることであり、基盤研究「西洋における『家』の発見」(基盤研究(B)H22~24年)の発展プロジェクトとして位置づけられるものである。そのために、これまで累積研究会・国内外の公開セミナー・シンポジウム・学会報告などを通じ、1)市場経済形成期の日本および南東欧を含む西洋社会各地域における「家々」を家計の形成史という観点から歴史学的に再検討し、2)家・家族・世帯とそれらが属する「村」との連関を具体化し、3)「家計」の背景をなす生業の構造(家業・家産)に焦点をあてながら日欧における市場経済化の地域的特質について対比分析することについて、本年度もフルに行ってきた。その成果の書籍・論文での公表も上記業績にのべたように果たし、また今後の出版・刊行についても準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで、本研究の目的である、日本および西ヨーロッパ社会において市場経済形成期に登場してくる農民の家・家族・世帯の「家計」に着目し、その形成史を明らかにすることのために 当初の目標を概ね果たしてきた。今後は、まとめに向かうとともに、今回のプロジェクト遂行中に新たに登場した点も整理し、今後の展開にむすびつけていく。そのための基本として、まず、累積研究会(年5回)の当年度第1回としてワークショップを開催し、第2次中間報告をする。海外専門研究者を招聘し、専門家としてのレビューをうけることで問題接近の拡大をはかる。同時に今年度の打ち合わせをおこなう。次いで国内追加調査と海外追加調査をも行う。また、拡大累積日欧対比研究会を行い、研究成果の発信と公開をHPなどで果たしながら、「イエ」の発見シンポジウムの開催をも目す。その議論をもとに最終報告書を日本語および英語で作成し、HPでも公開する。
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Causes of Carryover |
研究分担者に渡していた部分について基金分が300000円残っているのは、まず本人が勤務先の学内行政などにより多忙になったこと、またデータ入力を委託していた大学院生が病気にかかり、作業を継続できなかったことが理由となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者の多忙さがおさまり研究分担の再開を期しているが、状況に応じて研究代表者が適宜用いることも計画している。
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Research Products
(17 results)