2014 Fiscal Year Annual Research Report
タイ東部臨海地域における工業化・地域社会の変容と健康の社会的決定要因に関する研究
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25301041
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
宮北 隆志 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50112404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 定巳 熊本大学, 文学部, 名誉教授 (00039968) [Withdrawn]
花田 昌宜(花田昌宣) 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30271456)
中地 重晴 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50586849)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 工業化 / 地域社会 / 健康の社会的決定要因 / 健康影響評価 / 水俣学 / タイ / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、タイにて、5月、9月、2月に計3回の現地調査、並びに、パートナーであるEARTHのメンバーを含めての合同研究会を開催した。また、12月には、タマサート大学で開催された The 8th National Conference for Japanese Studies in Thailand に参加し”Japan’s Decades of Social Conflict and Community Governance”というテーマで招待講演を行い討論にも参加した。一方、国内では、6月、11月、1月に3回の研究会と調査検討会を実施した。 タイにおける調査研究のフィールドは、ラヨーン県(東部臨海地域の一部)マプタプット工業団地周辺のコミュニティ、並びに、ルーイ県(東北タイ)タンボン・カオルアングの金鉱山に隣接するナノンボン村を含む6つのコミュニティである。 マプタプットについては、工業団地の拡張に起因する大気汚染問題で移転を余儀なくされた旧パンピタヤカン中高等学校周辺のコミュニティ(かつてのマプタプット村)に焦点を絞り、マプタプット・ヘルスプロモーション病院との連携を視野に入れた協力/信頼関係づくりに取り組んできたところであるが、平成26年度は、上記学校でジュニア環境ガイドとして活動する7名の生徒宅を訪問しての調査(5月)や、マプタプット寺院の住職や地域の古老から工業団地の立地による地域社会の変容についての聞き取り調査など(2月)を行うことができた。 東北タイ・ルーイ県における金鉱山問題に関しては、EARTH、並びに、チュラロンコン大学平和と紛争研究センターとの共催で学術セミナーを開催し、コメンテーターとして発言し討論に参加した。また、金鉱山に近接する村の住民10名を対象とする聞き取り調査を行うと共に、金鉱山周辺を踏査し環境被害の状況を確認した(9月)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9月に、チュラロンコン大学において鉱山問題についての学術シンポジウム("Myths and Facts: Gold Mining in Loei Province")を海外共同研究者との共催で開催できたことは、地域資源の活用におけるガバナンスのあり方を考える上で極めて有意義なものであった。しかし、5月15日、金鉱山に近接するコミュニティにおいて起きた住民襲撃事件の直後、タイではクーデターが起き、国家治安維持評議会(NCPO)によって派遣された軍が村に駐留、外部との関係を事実上遮断したことから、9月の聞き取り調査は村外で行うことを余儀なくされた。また、毎年12月に、海外からの招待者を含めて開催されている National Health Assembly が、戒厳令下ということもあり、プログラムを縮小して開催された(前年度は政治的混乱から中止)ことから、Healthy Public Policy の形成過程に関するヒアリングが十分に行えず、一部、目的を達成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
海外共同研究者(NGOのEARTH、並びに、チュラロンコン大学紛争と平和研究センター)との連携をさらに深め、この2年間において構築できた東部タイ・ラヨーン県、並びに、東北タイ・ルーイ県をフィールドとする研究基盤を活かして、急激な工業化/開発行為に伴う地域社会の変容に向き合う当事者とステークホルダーを対象としたヒアリング・意見交換を当初の計画に沿って進め、Healthy Public Policy の策定と推進の鍵を握るツールとして重要な意味を持つ Health Impact Assessment、並びに、National Health Assembly の意義・成果・課題について明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度に使用予定があるため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に物品費としての支出を予定しているため
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