2013 Fiscal Year Annual Research Report
多文化にひらかれた大学教員の国境を越えたネットワーク構築に関する研究
Project/Area Number |
25301051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
倉地 曉美 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00197922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 亜紀子 佐賀大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20549141)
加藤 鈴子 東京福祉大学, 教育学部, 講師 (30633151)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多文化 / 日米独韓 / ネットワーク構築 / 文化の多様性 / 大学教育 / 大学教員 / 多文化間教育 / 日本語教育 |
Research Abstract |
2010~12年度に日米独で実施した基盤研究を継続発展させるため、平成25年度においては、近年多文化共生教育の振興な韓国における日本語教育が現在どのような状況にあり、大学の日本語教員は如何なる社会的状況下で教育実践に携わっているのか明らかにした。 韓国における日本語教育は、ここ数年で大きな曲がり角に来ている。まず第一の特徴は日本語学習者数の減少である。韓国は世界の中で日本語学習者数が最も多い国であったが、2012年の国際交流基金による調査では、中国、インドネシアに続いて第3位に転落している。これは単に上位2カ国の学習者数の増加によるものではなく、韓国の日本語学習者人口自体が、2009年の964014名から2012年の840187名へと12.8%減少していることによる。さらに、JASSOの調査によれば、日本の高等教育機関に所属している韓国人留学生数は2010年をピークに学習者数の減少に歯止めがかからない。その背景に領土、歴史認識、慰安婦問題があることは言を俟たない。こうした外交問題が、韓国人の日本イメージにどのような影を落としているのか、2014年に朝日新聞が行った調査によれば日本が嫌いという人は67%にも上る。 反日と経済的利益が共存する中で発展してきた韓国内の日本語教育は、日本の経済的な沈滞と韓国企業の発展によって、日本語を学ぶことで大きな経済的な利益が得られないということになり、韓国における日本語教育の正当性に疑義が挟まれる余地が生まれることになる。その一方で、1998年に正式に日本文化が解禁されて以来、アニメや漫画に対する興味から、日本語を学ぼうとする学習者も多い。「日本は韓国を侵略した国家であり、もはや日本に学ぶものはない」という国家的な建前と個人的な興味との狭間で揺れる彼らを前にし、予算削減、プログラムの縮小など厳しい状況に置かれた日本語教師には「何のために日本語を教えるのか」という問いが常に突き付けられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度予定していた韓国社会や教育界における現状把握に関する文献調査は実施できたが、研究代表者、共同研究者の諸事情により、韓国の大学におけるフィールドワークの実施に至らず、達成度にやや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、韓国におけるフィールドワークと「多文化にひらかれた大学教員のためのネットワーク構築」に向けての準備を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究担当者の諸般の事情によりフィールドワーク、学会発表が平成25年度中に実施困難となり、次年度使用額が生じた。 平成26年度はフィールドワークの実施等で予算執行する計画である。
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