2015 Fiscal Year Annual Research Report
多文化にひらかれた大学教員の国境を越えたネットワーク構築に関する研究
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25301051
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
倉地 曉美 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00197922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 亜紀子 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (20549141)
加藤 鈴子 九州工業大学, 学習教育センター, 准教授 (30633151)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多文化 / 日米韓 / 日本語教育 / グローバル化 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
日本、アメリカ、韓国のそれぞれで実施した調査研究の結果に基づき、日本、カナダで学会発表を実施した。まず、2017年に日本で行った調査では、日本を席捲している「大学のグローバル化」の潮流や、留学生30万人計画の流れが、大学の日本語教員にいかなる影響を及ぼしているかを明らかすることができた。日本語教師は留学生増や、留学生の多様化、日本人学生の留学支援の必要性等に伴い、日本語教師は全学のなかでも、国際化に対応する教員として多種多様な職務を担うことになったが、その立ち位置は微妙であり、むしろ発言権がなくなっていると回答するものが多く見られた。 一方、韓国で実施した聞き取り調査の結果から、韓国では日米に比して日本語教育の凋落が目立ち、日本語学習者が激減し、プログラムの縮小、廃止を迫られ、日本で学位を得て帰国した日本語教師たちは、次に何を新たな目標とすべきかという大きな問いに直面せざるをえない深刻な事態に陥っていることが明らかになった。 アメリカの大学における日本語教育についての聞き取り調査に関しては、データ分析を行い、アメリカの大学における学生の日本語履修動機の変化や日本語履修者像の変化(アメリカ人学生から留学生へ)について、担当者がどのように捉えているのかを検討した。アメリカでは韓国ほどには学習者数が減少せず、一定の学習者数を保っており、教師たちも学習者の批判的な思考力や全人的な発達成長という視野で日本語教育を捉えていた。また、長年日本語教育に携わる一人の教師のライフヒストリー構築を通して、教師の個人の葛藤が、本人の教育観にどのように影響を与えたのかを明らかにした。 これらの調査研究と平行して、多文化にひらかれた日本語教師のネットワーク構築に関する全国集会を3回実施し、アクション・リサーチを継続・実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外、国内の調査研究を実施し、その成果を内外の学会において発表し、一部を論文にまとめて口頭発表し、研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も、従来行ったきた文献研究、調査研究を継続し、その成果を学会発表すると同時に、SNS上で実施している日本語教員のネットワーク構築に関するアクション・リサーチに関する研究報告をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
3回の研究会を企画したが、海外からの出席者の日程と合わず、旅費、滞在費等を支給する必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外調査、海外での学会発表を計画している。
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Research Products
(14 results)