2014 Fiscal Year Annual Research Report
DNA付加体の網羅解析を用いた中国の食道・噴門部胃がん多発地域の発がん要因の探索
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25305026
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
戸塚 ゆ加里 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (40373401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 櫻松 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (50340302)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DNA付加体の網羅解析 / 食道癌 / NPIP / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道がん・噴門部胃がん多発地域(磁県;n=7)及び低発地域(石家荘; n=8)の食道がんの手術検体(非癌部)から抽出したDNAを用いて、アダクトーム解析を行なった結果、高発地域に特徴的である付加体のうちの一つが既知付加体であるN2-(3,4,5,6-tetrahydro-2H-pyran-2-yl)deoxyguanosine (THP-dG)であることが推測された。この付加体はN-ニトロソピペリジン(NPIP)由来の付加体であり、ラットに食道癌及び肝臓がんを誘発することが報告されている。 また、THP-dGの曝露レベルを調べるため、中国の食道癌高発および低発地域住民の血液サンプル(磁県;n=10, 石家荘; n=5)の分析を行なった結果、両地域住民からTHP-dG付加体が検出されたが、その陽性頻度及び曝露レベルともに高発地域住民で高い傾向があることがわかった。更に、NPIPの変異原性についてバクテリアを用いたin vitro遺伝毒性試験により検討した結果、代謝活性化酵素の存在下で高い変異原活性を示した。変異スペクトラム解析の結果、NPIPはC->Tのトランシジョンを顕著に誘発することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り中国の食道癌多発および低発地域住民の生体試料(手術検体、血液など)を日本に持ち込む事が出来たので、その後は順調に研究をすすめる事が出来た。また、付加体の網羅解析により中国食道癌の候補要因を見出す事に成功し、その後の解析も概ね順調にすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き中国の食道癌低発地域、高発地域住民の生体試料を用いてTHP-dGの解析を行い、NPIPの曝露と中国における食道癌高発地域の食道癌発症との関係を疫学的に検討する。更に、研究計画に記載したように、高発地域住民の食道癌サンプルを用いて遺伝子変異解析を行い、この地域における塩基置換プロファイルの特徴などについて調べる。また、トランスジェニック動物を用い、NPIPの変異プロファイルについても分析し、ヒトの変異プロファイルとの相関について調べる。
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Causes of Carryover |
特定の遺伝子のみの変異解析を行うのではなく、全エクソン解析にした方が本研究の目的にはより適切と判断し、H26年度に高発地域5例分解析をした。低発地域の解析結果との比較が必要と考え、追加症例の解析をH27年度に行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
食道癌原因候補物質を用いた変異原性解析 多発および低発地域住民の食道・噴門部胃がんサンプルを用い、塩基置換プロファイルを全エクソン解析により解析する。
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