2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25330033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
橋口 博樹 東京理科大学, 理学部, 准教授 (50266920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 重和 倉敷芸術科学大学, 産業科学技術学部, 教授 (90248203)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 統計計算 / コンピュータ支援統計 |
Research Abstract |
本研究は,固有値分布に関して3つのテーマからなる.テーマ1は,正確な数値計算に関する数理,テーマ2は,近似分布の導出に関する数理,テーマ3は,現実問題への適用を考慮した応用である.H25年度では,3件の論文が採択され,7件の学会発表を行った. テーマ1に関する成果としては,ホロノミックグラディエント法を固有値分布の数理計算に適用し,その有用性を示した.具体的には主成分分析で重要となる第一固有値の分布計算である.この分布は行列変数の超幾何関数で表現でき,ゾーナル多項式の無限級数となることが知られている.この無限級数は指数的に計算量が増えるため数値計算は非常に難しい問題であった.本方法では原点の近傍の級数を初期値として,微分方程式系でつなぐことで問題を解決した. 次に,テーマ2に関する成果としても論文を公表し採択された.この論文では,固有値分布のカイ2乗近似に着目し,自由度の異なるカイ2乗分布の積による新たな固有値分布の近似式を提案した.このカイ2乗の積による近似は,これまで知られている単体でのカイ2乗よりも数値精度の高いことをシミュレーションによる数値実験により示した.さらに,両者による母集団固有値の信頼区間の構成も議論した.いくつかの母集団固有値の設定においては,第1種の過誤が 5%に制御できおり,精度が良いという結果であった.さらにテーマ2での成果として,第2固有値の分布についての近似式を得て,シミュレーションによって近似制度を評価した.この成果も論文として採択さいれた. また,テーマ3に関しては,応用研究に向けた文献調査と,いくつかに関して既存の論文の追試を終え来年度に備えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,固有値分布に関して3つのテーマからなるが,2つのテーマでは既に3本の論文が採択された.テーマ3に関しても文献調査と文献に基づく追試実験が順調に進んでいる.研究分担者,連携研究者,研究協力者の連携も良く,分担して効率的にテーマの遂行が行われている.これらの協力者のもと,学会発表も7件あり着実に成果を挙げている.したがって,順調に研究が進展している.テーマ1に関する成果としては,ホロノミックグラディエント法を固有値分布の数理計算に適用しその有用性を示し,当初の予定通り研究が遂行している.テーマ2でも新たな近似分布を導出し,論文を投稿,採択に至っている.関連する論文として,第2固有値の分布についても成果がでた. これは当初の予定にはなかったが,テーマ2に関連する外部の研究者との共同研究によって成果が生まれた.テーマ3については,今年度は文献の調査と関連する論文の追試を行ってきたが,これも研究協力者の協力を得て順調に進んでいる.特に複素数への発展を目指して研究を行い,追試を通して今後の発展のための材料をそろえている.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度のサブテーマとして,ホロノミックグラディエント法の適用可能性の検討,近似公式の導出,文献調査とその追試,試作実装があったが,これらが順調に進んだことから,26年度も当初計画の通りに引き続き研究を遂行していく.26年度では,25年度の成果をさらに発展させるべく計算機シミュレーションの実験を行う予定である.よりブラシュアップしたプログラム作成を研究分担者,研究協力者とともに行う.さらに正確な数値計算や近似計算の方法論を実際の応用面での検討を行う.実数のランダム行列,その固有値分布の応用では,主成分分析やそれを活かしたパターン認識への応用が考えられる.複素数のランダム行列では,無線通信の数学モデルとしてモデル解析に応用が考えられ.現実問題を意識した数学モデルにおいて,25年度の成果がどのように適用できるかについて,コンピュータ実験を行うことで検証する.また,25年度の成果と合わせ,26年度前期までにはシミュレーション実験に目処をつけ,26年度後期には国内外で発表した結果をまとめ,1本以の論文の投稿を行う.関連する研究テーマとして,モンテカルロ法やブートストラップ法,乱数生成への応用を,研究分担者,連携研究者とともに検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の残額は配分額の5パーセント以下であり,ほぼ順調に予算は消化したと考えている.ただし,残額がでたことの主な理由は,今年度に高性能計算機を購入する予定であったが,プロトタイプ作成では既に用意していた計算機で代用できたため,その分を次年度に繰り越すことになった. 26年度には高性能計算機を購入する.
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Research Products
(10 results)