2014 Fiscal Year Research-status Report
組合せ最適化問題としてのパターン認識:理論構築と実用化に関する基礎研究
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25330200
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
酒井 智弥 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30345003)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機械学習 / 信号処理 / 圧縮センシング / 画像 / スパースモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
認識対象を簡潔に説明する特徴やクラスの組合せを求めるパターン認識によって合理的に実現する機能が2つある:(1)異なる特徴や基本クラスを組み合わせて、未学習の対象を認識する機能、(2) 既知・未知を判別する機能。これらの機能に着目し、肺聴診音のパターン認識および文字検出について検証実験を遂行した。 肺音認識は、肺聴診音を構成する肺音(呼吸音、連続性ラ音、断続性ラ音等)をすべて言い当てる多重ラベリング問題である。一般に、聴診音はこれらの構成音の混合であるため、構成音を基本クラスとして機械学習するための訓練データを用意できない。よって、「(C3)未知の基本クラス・関係構造無し」の問題と見なした。肺聴診音のスペクトログラムの低ランク性とスパース性を先見情報とすると、呼吸音と断続性ラ音の構成要素が部分空間の基底として得られ、それ以外の構成音が連続性ラ音として分離されることを確認できた。 文字検出の検証実験では、文字特有の線画、偏、旁の組合せの有無によって文字・非文字を判別する可能性を確認できた。前年度では、「(C5)未知の基本クラス・未知の関係構造有り」の問題として漢字画像を基底学習したとき、線画ではなく偏や旁等が基本クラスとして得られたが、それらを構成する基本的な線画が得られない問題が残った。当該年度では、文字の構成要素に局所性の先見情報を与えたとき、特徴的な線画が基本クラスとして得られ、更にその組合せとして偏や旁等の高次の特徴を上位のクラスとして獲得できた。また、得られた上位クラスの簡潔な組合せの有無に基づき文字・非文字を頑健に判別でき、(2)の機能による文字検出の可能性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、組合せ論的パターン認識で実現される機能を検証することと、アルゴリズムの効率化をハードウェア・ソフトウェアの両側面から試みることを計画していた。具体的な設計には至っていないが、効率化を達成するための調査活動は遂行できている。また、検証実験を予定より前倒して実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、組合せ論的パターン認識で実現される機能の検証およびアルゴリズムの効率化に取り組む。ハードウェアによる高効率ランダム射影の加速、逐次計算可能なロバスト主成分分析の効率化を試み、基本クラスとその組合せを求める際に応用問題依存となる課題と解決法を明らかにする。実用化の取り組みの例として、肺聴診支援装置を設計する。最終年度につき、これまでの研究成果をまとめた論文投稿に努める。
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