2015 Fiscal Year Annual Research Report
組合せ最適化問題としてのパターン認識:理論構築と実用化に関する基礎研究
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25330200
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
酒井 智弥 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30345003)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機械学習 / 信号処理 / 圧縮センシング / 画像 / スパースモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
認識したい対象の事例が与えられたとき、それらを簡潔に説明するための特徴やクラスを求め、求めた特徴やクラスを組み合わせることで対象の認識を実現する仕組みの構築に取り組んできた。本年度は、この組合せパターン認識を応用問題に適用して実用性を検証した。特に、肺聴診音のパターン認識と、動画像による運動の推定・分類を応用の対象とした。これらの先行研究では、特徴やクラスを限定した応用のみが見られる。例えば、肺音検出の既存手法は、断続性または連続性の異常音のどちらかに限られている。運動の推定・分類の既存手法は、カメラの自己運動または物体の運動のどちらかが対象になっている先行研究が多い。 肺音認識への応用では、次の(1)~(3)の先見情報のみから肺聴診音を構成する肺音(呼吸音、連続性ラ音、断続性ラ音)を同時に検出できることが示された:(1)呼吸音は限定された少数の周波数成分の組み合わせであること(ただし周波数帯は未知)、(2)断続性ラ音はパルスが反復していること(ただし波形は未知)、(3)連続性ラ音は限定された瞬時周波数成分の組み合わせであること(ただし瞬時周波数は未知)。 動画像への応用では、次の(1)と(2)の先見情報のみからカメラの自己運動と物体の運動を同時に推定・分類できることが示された:(1)自己運動で生じる画像の変動は少数の基本的な変動の組合せで表現できること(ただし基本的な変動は未知)、(2)運動する物体は短時間または画像の一部にしか出現しないこと(ただし物体の出現時刻や位置・形状は未知)。 これらの応用のように先見情報から組合せパターン認識を具体化する算法設計には、スパース性・冗長性を定量化する凸関数の最適化の技法が有効である。以上の成果を国内外の会議・シンポジウム・研究会等で発表した。
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