2015 Fiscal Year Research-status Report
マルコフ連鎖モンテカルロ法の挙動に基づくベイズ推定におけるモデル選択手法の開発
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25330283
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 賢二 東京大学, 新領域創成科学研究科, 助教 (10556062)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 機械学習 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / ベイズ推定 / モデル選択 / スペクトル分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法の挙動や緩和過程に基づいたベイズ推定の新たなモデル選択法の開発を行う. 平成27年度では,昨年度までで開発したモデル選択手法を応用すべく,スペクトル分解の問題に適用した.特に,生命科学で利用される核磁気共鳴分光法(NMR)で得られるスペクトルデータに着目した.通常,スペクトル分解の問題では,フィッティングに用いるピーク個数をモデルとして,モデル選択を行うが,本研究では,それを拡張し,それぞれのピークがどのアミノ酸由来かを決定する枠組みへと展開した.具体的には,符号化標識法基礎として,各ピークの信号強度からアミノ酸を選択する枠組みを利用した.この際に,候補となるモデルの個数が膨大に増える問題があったが,アミノ酸に関しても説明変数とし,レプリカ交換モンテカルロ法により効率的に解空間を探索する手法を開発し,実際のデータに対して有効性を検証した. また,昨年度で開発した実対数閾値を求めるアルゴリズムに着目し,ベイズ推定に関する推定の成否を判別する指標としてベイズ比熱を新たに定義した.ベイズ推定と統計力学の共通点に着目し,ベイズ推定を計算機により求める新たなアルゴリズムを開発し,データ数やノイズレベルの変化に応じて,推定の成否が変化する場所でベイズ比熱が発散する現象を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
応用先を,当初では予定していなかった生命科学に広げることが出来た点や,アミノ酸配列を直接モデル選択で決定する枠組みを構築したこと,レプリカ交換モンテカルロ法により効率的にモデル選択できるアルゴリズムを開発したことなど,当初計画より大幅に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成28年度では,これまでの成果をとりまとめ論文に仕上げる.また,新たな分野への展開として,広報・アウトリーチ活動にも力を入れる.
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Causes of Carryover |
予定していた計算機シミュレーション実行のために予算を計上したが,現有の計算機資源で十分であったため,購入を次年度に見送ったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表のために,査読つき国際誌への投稿のための投稿料や英文校閲費などに利用する.また,実験・計測科学者との研究打ち合わせのための旅費として計上する.
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