2015 Fiscal Year Annual Research Report
コンラート・ゲスナーによる16世紀ヨーロッパの出版情報の収集と組織化
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25330401
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
雪嶋 宏一 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00507957)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | コンラート・ゲスナー / 万有書誌 / 総覧 / 神学の分類 / 書誌記述要素 / 資料組織化 / 出版情報 / 初期印刷本 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には、第1に、ゲスナー『万有書誌』中最長の「アリストテレス」の項目の情報源を調査した。チューリヒ中央図書館所蔵のゲスナー手沢本『アリストテレス全集』(B 83 & a)にゲスナーが章立てのためにギリシア語で書き込みを行い、そのラテン語訳をこの項目で記述していたことが判明した。 第2に、ゲスナー『総覧』と『神学の分類』の情報源を調査し、バーゼル大学図書館所蔵のゲスナー手沢本(BG IV 35)に合本されているRutiliusと Fichardusの著書が第19類法学の分類に直接引用されていたことを突き止めた。また、同書に合本されたHieronymusとGennadiusの著作も『万有書誌』に活用されていた。 第3に、『総覧』の様々な分類で繰り返し引用されているCaeliusという人物について調査した。Caeliusは16世紀初めのイタリアの人文主義者Lodovico Ricchieriであることが判明した。ゲスナーは1542年バーゼル版Ricchieri, Lectionum antiquarum libri XXX巻頭の章一覧を活用して分類項目に引用していた。 なお、国際研究雑誌Zwinglianaへ論文を投稿し、また2016年6月にチューリヒで開催されるゲスナー生誕500年記念国際会議での発表論文を提出した。また、研究総括として『コンラート・ゲスナーによる16世紀ヨーロッパの出版情報の収集と組織化』を刊行した。 研究期間を通じて、ゲスナーの情報源とその取扱い方をゲスナー手沢本の書き込みから具体的に明らかにし、『万有書誌』の印刷ヴァリアントを発見するとともに、ゲスナーによる目録編纂の具体的な方法を解明することができた。そして、ゲスナーが確立した印刷本の目録記述法が今日の目録規則の原点となることを考察して、ゲスナー『万有書誌』の歴史的意義を明らかにした。
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Research Products
(11 results)