2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25330407
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
椋木 雅之 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (20283640)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 振る舞い認識 / 理解度推定 / 教育評価 / 知的学習支援 / 姿勢推定 / 自己隠蔽 / オクルージョン / クラスタリング |
Research Abstract |
本年度は「ビデオカメラで観測した受講者の振る舞いを計算機により自動的に分類する技術」に関する研究開発を行った. 講義室前面上方に設置したビデオカメラで,講義中の受講者を観測し,姿勢推定を行う.ここで,姿勢とは「頭頂部,首,肩,肘,手首といった人体の部位の位置の組」と定義する.各時点での姿勢を時間方向に並べた姿勢系列から,特定の区間を抽出して,意味づけたものが振る舞いとなる.受講者の姿勢推定では,同一人物内での部位の重なり(自己オクルージョン)が頻繁に発生する.従来の姿勢推定手法では,自己オクルージョンが発生すると,隠された部位を無理に背景から探そうとするため,結果として姿勢推定が大きく正解から外れるという問題点があった.本研究での姿勢推定は,理解度と対応付けられる振る舞いの発見に利用することから,部位の位置の多少のずれは許容できるが,姿勢推定全体が大きく誤ることは問題となる. この問題に対して,自己オクルージョンの度合いに応じて,受講者画像をいくつかのクラスに分類し,それぞれのクラスに適した部位検出器を用いて姿勢推定する手法を提案した.自己オクルージョンの度合いが大きい場合,一般に姿勢推定は難しいが,そこで現れる姿勢は限られるため,推定対象となる姿勢を限定することができ,性能向上が計られる.一方,自己オクルージョンの度合いが小さい場合は,姿勢のバリエーションは大きいが,姿勢推定は容易である.これらを適切に組み合わせることで,全体の性能向上を図った. 実験では,自己オクルージョンの度合いを3つに自動分類し,姿勢推定を行った.300x240 画素の受講者画像に対して実験を行った結果,推定結果と正解との位置誤差が20画素以内となる割合を 20%程度向上させることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた姿勢推定について,従来手法からの大幅な改善が実現できた.特に,本研究の目的である理解度と振る舞いとの対応付けに必要な精度を想定した評価で,20%程度の性能向上が得られ,姿勢推定の結果を統計的に利用する道筋ができた.姿勢系列から振る舞いを求める部分については,これまでに開発した手法が適用できることから,次年度に向けて,順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は「理解度推定」,最終年度は「振る舞いと理解度の関係解析」を行う予定である.「理解度推定」では,当初予定していた小テストや理解度アンケートの情報だけでなく,より細かな学習ログの情報を利用することを検討する.そのために,受講者がタブレットを利用して学習する環境を想定し,講義室だけでなく家庭学習についても,学習ログを収集する.これにより,講義室での様子だけでなく,生活全般における学習状況を把握して,理解度を求めることを目指す.また,本年度購入した脳波計を用いて,人の集中状態と外部から観測できる振る舞いとの関係についても,データを収集し検討を始める.これらの成果に基づいて,最終年度に,振る舞いと理解度の関係解析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,既存設備である受講者観測用のカメラシステムを,複数方向からの撮影ができるよう拡張して,本研究課題で利用することを考えていたが,最終的に1カメラからの映像のみで姿勢推定が行える手法としたため,この拡張のための支出が不要となった.次年度に購入を予定していた脳波計を先行して購入した. 次年度の「理解度推定」の研究では,タブレット型PCでの情報収集を行う.このシステムの構築,カスタマイズ,改良のための予算支出を見込んでいる.
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