2014 Fiscal Year Research-status Report
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25330407
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
椋木 雅之 京都大学, 学術情報メディアセンター, 准教授 (20283640)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 振る舞い認識 / 理解度推定 / 教育評価 / 知的学習支援 / MOOC / 学習ログ解析 / 学習様態獲得 / クラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初,講義「画像処理」の受講者37名に対して小テストおよび理解度アンケートを23回実施した結果をもとに,項目反応理論を用いた理解度推定手法を適用したが,容易すぎて全員が正解となる設問や,難しすぎて全員が不正解となる設問の影響が推定結果に大きな影響を与えることが分かった.そこで,より多くのデータが利用できるMOOC環境でのログ情報と最終成績との関係から,どのような学習行動をとった学生が良い成績を示すかを学習様態として抽出することを試みた.対象としてのは,16834名が受講したMOOC講義である.講義は,説明動画ページと理解度チェックのための小テストページからなる.いくつかの説明動画と小テストがセットとなっている.ここでは講義内容に基づいて講義を8セットに分割した.MOOCでは授業登録をしても,最終の成績評価まで行き着かない(ドロップアウト)受講者が多数存在する.まず,このような大きく特性の異なる受講者を分類する目的で,セットにおける「動画視聴数」と「小テスト受験数」を特徴量として,受講者を分類した.その結果,すべてのセットで同じ傾向を持つ4つ類型を得ることができた.その中から,動画視聴・小テストの両方に取り組んだ受講者に注目して,成績と受講行動との関係を分析した.ページの種類(動画,小テスト),閲覧順序を特徴量として受講者を分類したところ,順方向/逆方向に順番通り動画ページを閲覧する頻度が高いグループでは最終成績が良く,この頻度が低いグループでは成績が悪いという傾向がみられた.さらに,これらの頻度と修了率が高い相関(r=0.956, 0.875)を持つこと,これらのグループが他のグループと有為な差(t検定, p<0.01)があることが分かった.これにより,受講者の行動と理解度を関連付けられる可能性を示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた「理解度推定」について,我々の提案した従来手法では,理解度チェックのための小テストを作成する際に,弁別能力のある問題とする必要があることが分かった.これは,次年度の実験に活かせる知見であり,今後の実験・評価に反映していく.タブレットPCを利用した学習行動の収集については,実施校との調整がつき次年度から本格的にデータ収集と解析を行う準備ができたが,研究代表者の異動により,実際の連携が困難となった.引き続き大学には在籍しているため,実験フィールドを講義室とした上で,データ収集と評価を続ける.理解度と振る舞いとの関係解析では,大規模なMOOC講義での学習ログから,一定の傾向を抽出することができており,順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は「振る舞いと理解度の関係解析」を行う予定である.MOOC環境での大規模ログデータに対して,学習行動と理解度との関係を明らかにしたが,講義室の環境における両者の関係について,改めて検討する.特に,人の集中状態と外部から観測できる振る舞いとの関係について,検討を進める.
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Causes of Carryover |
タブレット型PCを使った実証的研究を行う予定であったが,データ収集のための調整や環境構築に時間がかかり,大規模に展開するに至らなかった.そのため,テスト用のPC購入にとどまり,差額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き,実フィールドでのデータ収集とデータ解析を行う.このために,学生用学習端末やデータ解析用PCの購入を予定している.また,これまでの研究成果の発表や情報収集のための旅費の支出を多く予定している.
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