2013 Fiscal Year Research-status Report
光ー光合成曲線に基づく人工衛星データによる総生産量推定アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
25340007
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
村松 加奈子 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (20252827)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 総生産量 / 総生産キャパシティー / 衛星データ / 植生指標 / クロロフィルインデックス / 気孔コンダクタンス / 熱赤外イメージ |
Research Abstract |
平成25年度は、1)衛星データからの光合成キャパシティー推定アルゴリズムの構築を完成させ、2)リモートセンシング技術を利用した植生の気孔開度測定方法の開発と、3)衛星データによる植生機能タイプ分類を本アルゴリズムに特化させる点について実施することを目標に研究を行った。 課題1)衛星データからの光合成キャパシティー推定アルゴリズムの構築 これまで主に日本の観測サイト(落葉広葉樹、落葉針葉樹、常緑針葉樹、水田)と北米のサイト(草地)のフラックスデータを用いて解析を行ってきた。しかしながら全地球解析には、十分対応できない。本年度は、これまでに解析を行っていない植生タイプ(Open Shrub, Closed Shrub、混交林、アマゾンの熱帯雨林)のフラックスデータの解析を行ない、推定式を求めた。 推定式に関しては、これまでの研究での草地とOpen-shrubは同じ推定式で解析できる可能性があること、熱帯雨林アマゾン以外の樹木タイプの推定式の傾きはほぼ一定であることが明らかとなった。 課題2) リモートセンシング技術を利用した気孔開度観測方法の開発。これまで、個葉についての葉温の日変化、光合成および気孔コンダクタンスの日変化を測定し、気孔コンダクタンス推定のためのルックアップテーブル作成を行ってきた。今年度は個葉から、樹冠へ拡張するために、樹冠の数カ所において光合成と気孔コンダクタンスの観測、および熱赤外カメラによる葉温の日変化の観測を行った。 課題3)衛星データによる植生機能タイプ分類図の作成。分類図を作成するにあたり、その分類項目を決めることは重要である。課題1)の解析結果より、推定モデルに適用する際の植生タイプのグループ分けがいくつかできた。今後他の植生タイプのフラックスデータも解析していくことにより、分類項目をさらに決めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1)光合成キャパシティー推定方法に関しては、これまで解析を行ってきた別の植生タイプにおいても、本手法が適用できることが明らかとなった。また、植生タイプが増えたことにより、推定式を一般化することができそうであることがわかった。推定式を一般化できると、全地球への適用性やその精度向上も期待できる。推定式の一般化に関しては当初研究計画としては予定していなかったが、全地球への適用性という視点から、来年度さらに解析をすすめたい。 課題2)本年度は、個葉から樹冠へのスケールアップにむけて、地上データの測定方法を検討した。1つの樹冠内のいくつかの枝毎に光合成速度、気孔コンダクタンスの観測を行った。光合成速度と気孔コンダクタンスの日変化は各枝毎多少異なり、日射の当たり方の違いを反映していると考えられる。個葉から樹冠へのスケールアップにむけての地上データの取得ができた。 課題3)植生タイプ分類で重要な分類項目の決定に関する方向性を決めることができた。今後はさらに課題1)、課題2)の解析を進め、分類すべき植生タイプを決めて行く予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
課題1)総生産キャパシティーの推定に関して、これまで解析をおこなってきた植生タイプ以外のものや、別の地域のフラックスデータの使用可能性について調べ、それらのデータを解析することにより、全地球への適用性を高める。また、植生タイプ毎の定数よりは、その推定式のパラメータの決め方が一般化できると、全地球への適用性は向上することが考えられるため、この部分に関しても研究を勧める予定である。 課題2)リモートセンシング技術を利用した植生の気孔開度観測方法の開発に関して、個葉から樹冠へのスケールアップ、衛星へのスケールアップを行う。個葉の解析で葉温の観測値と日射と飽差の気象データを入力値とし、気孔コンダクタンスを推定するルックアップテーブルを作成してきた。このルックアップテーブルに関して、樹冠用、空間分解能の低い衛星データ用を作成する。この際、衛星で観測される表面温度と、地上での熱赤外カメラで観測する葉温とでは、空間分解能が異なることおよび衛星では大気の影響を受けやすいため、たとえ同じ時間であっても同一の値が観測されるわけではない。この点も解決する必要がある。地上での観測、地上データに基づいたモデル計算からのスケールアップに加えて、衛星データで観測される地表面温度の日変化の特徴を、各植生タイプ毎に詳細に調べる予定である。 課題3)に関しては、課題1)、課題2)の解析方法と関連が強いため、どのような植生タイプをひとつのグループとしてとり扱っていくことができるのか、という視点から解析を進める。
|
Research Products
(7 results)