2015 Fiscal Year Research-status Report
光ー光合成曲線に基づく人工衛星データによる総生産量推定アルゴリズムの開発
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25340007
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
村松 加奈子 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (20252827)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 総生産量 / 総生産キャパシティー / クロロフィルインデックス / 樹冠コンダクタンス / 熱赤外イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,昨年度から引き続き,以下の3つの課題に取り組み,一部研究計画の見直しをおこなった。 課題1) 衛星データを用いた総生産(GPP)キャパシティー推定アルゴリズム:昨年度に引き続き,シベリアのカラマツ林,アカマツ林についての初期解析を行った。また,closed shrub, open shrubの解析結果について,論文を作成し現在投稿中である。 課題2) リモートセンシング技術を利用した植生の気孔開度推定アルゴリズムの開発:アルゴリズムを個葉から樹冠へとスケールアップし, 樹冠コンダクタンス指標の定義について,考案した。具体的には以下の通りである。 乾燥によるストレスが高いopen shrubのサイトにおいて,樹冠コンダクタンスを衛星観測時の10時半の値を用いて規格化し(樹冠コンダクタンス係数と名付ける),10時半からの変化量をGPPキャパシティーにかけ,どの程度FLUX観測のGPPと値が一致するのかを調べた。その結果,10時半からの光合成速度が低くなる様子は,ほぼ再現した。衛星観測の10時半,MODIS観測の14時半では,樹冠温度が観測されるため,この時刻の樹冠コンダクタンス係数がわかれば,その傾きより,GPPキャパシティーからの低下量が推定できると考えた。この結果より,衛星データを用いた樹冠コンダクタンス指標の候補を決めた。 課題3) 衛星データによる植生機能タイプ分類項目の設定:昨年度に引き続き,課題1) 2) を実施しながら進めた。 また,課題2) に関連して,総生産キャパシティーと総生産量がどの程度異なるかを調べた。その結果,乾燥による高いストレスを受けているopen shrubの5月後半で光合成による日中低下量は,16%であり,水田で灌漑をしている場合は,総生産量は,総生産キャパシティー量の90%以上でほぼ一致していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
課題1),課題3)に関しては順調に進んでいるが,課題2)は当初の計画より遅れており, 計画の見直し変更を行った。 本研究では,光合成の日変化をモデルに組み込むことが大きな特徴であるが,現段階では全地球規模の日変化の気象データの入手が間に合わないためである。 そこで,本研究の解析に用いたフラックスサイトに対応した全球用の気象データを用いてモデル開発を行うこととした。また,キャパシティーと日中低下による減少量それぞれの,総生産量推定に対する寄与率を事前に把握する必要があると判断した。そこで,総生産キャパシティーと総生産量がどの程度異なるかを,比較的長期間観測されているフラックスデータを使用して植生タイプ毎詳細に調べる解析をまず行うことと変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では, 衛星データを用いて,総生産量を総生産キャパシティーとその抑制量から推定する手法を開発する。光合成の抑制量は,気孔あるいは樹冠コンダクタンスの日変化を指標化したものを,熱赤外イメージデータを用いて推定する予定である。そのために,総生産キャパシティー推定アルゴリズム(課題1)),気孔開度指標の定義とその推定アルゴリズム等の開発を行なってきており,衛星への適用にむけて樹冠コンダクタンス指標の候補を考案した(課題2))。また,本アルゴリズムを全地球観測の衛星データに適用するために,全地球での植生分布図が必要であり,本研究からどのような植生タイプに分けるのかを提案する必要がある(課題3))。 課題1)については,昨年度に引き続き同様の方法で解析を進める。 課題2)については,フラックス観測サイトにおいて,現在の候補である樹冠コンダクタンス指標を全球用の気象データの日変化と衛星データに適用し,総生産量推定を行ない,問題点等があれば改良を行い,全地球観測衛星データへの適用への基礎を築く。また,全地球における総生産量推定にむけ,フラックス観測サイトで比較的長期間観測されているデータを用いて,植生タイプ毎に総生産キャパシティーと総生産量がどの程度異なるかを,詳細に把握する予定である。 課題3) については,昨年度と同様に課題1),課題2)を実施することにより進める。
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Causes of Carryover |
論文を投稿中であり,そのために必要な経費を残しておいたが,研究期間中にその論文の査読が終了しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文最終校の英文校閲,投稿料等に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] A scale-up method for reference data for validation of global land cover maps using ALOS/AVNIR-2 satellite data.2015
Author(s)
Soyama, N., Muramatsu, K., Ohashi, I., Daigo, M., Ochiai, F., Tadono, T., Nasahara
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Journal Title
Proc. of SPIE
Volume: 9644
Pages: 1-6
Open Access
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[Presentation] A scale-up method for reference data for validation of global land cover maps using ALOS/AVNIR-2 satellite data2015
Author(s)
Soyama, N., Muramatsu, K., Ohashi, I., Daigo, M., Ochiai, F., Tadono, T., Nasahara
Organizer
SPIE Remote Sensing 2015
Place of Presentation
Toulouse, France
Year and Date
2015-09-22
Int'l Joint Research
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